丹羽宅ボードツアー2009 ~後編~「領土問題再び」

丹羽宅ボードツアー2009 ~前編~「藤○とうふ店現る」の続きです。

 

 さぁ、居酒屋「ねずみ小僧」では陣取り合戦で燃え上がったのですが、
順を追って綴っていくことにしましょう。
まず店の中の雰囲気。和風な雰囲気なのはもちろんですが、いつか行った
月の粉」に似ていて、テーブルごとに床の高さが違ってるのよ。
俺たちが案内されたのは入口付近のテーブルだったんだけど、
隣に同じサイズのテーブルがあって、すだれで仕切られている。
テーブル横の通路には、上に向かう階段が3つと、若干低くなっている
奥のフロアと厨房への階段がそれぞれに伸びている。
向かい側のテーブルなんかは、半地下みたいな位置にある。
お客さんも店員さんも、上へ下へと縦横無尽に行き来しているのである。
ちょうどお客さんの大半が女のコだったのと、店員さんのひとりがかわいいコ
だったからアレだったけど、そうじゃなかったらあの落ち着かなさは
どうなんだろうね?まぁ、異色な雰囲気自体は好きだけどね。
 メニューの方はちょっとバリエーションが少ない感じがしたかな。
お酒もあまり種類は豊富とは言えないと思う。
まぁ、俺個人としては日本酒と梅酒と焼酎があれば、それなりに満足だから、
どこの店に行っても飲むお酒がないなんて事は少ないですけどね。
それにねずみ小僧にはテキーラがあったから、むしろ合格と。

 さてさて、そんなお店での飲みの話題は寝床争奪戦だ。
毎年丹羽の部屋に泊めてもらっているのだが、6畳ぐらいの丹羽の部屋には
丹羽が寝るパイプ造りのシングルベッドが1つ、他にはTV台と衣装棚が
設置されていて、丹羽家からは2枚の敷き布団と数枚の毛布&かけ布団が
支給されている。
 で、話は一昨年に遡る。さらに言うのであれば、その2日目の朝だ。
当時の日記には描かれていないけど、去年の日記では触れられていますね。
そう、あの戦いが再び開幕されたのである。
 一昨年、疲れて丹羽宅へと帰った俺達は適当に寝床を決めて眠りについた。
しかし、2枚の布団で4人が寝ているんだから、布団が充分には行き渡らず、
結果クピンはおーくんに布団を奪われて寒さに凍えながら目を覚ましたのだった。
 そしてそれを踏まえて迎えた去年。
去年は居酒屋で飲みながらジャンケンで寝る場所を決めていくことになった。
このとき一番盛り上がっていたのは、前年にクピンから布団をせしめて
クピンに苦汁を飲ませたおーくんであった。
「今年もクピンを苦しめてやろうじゃないか」っていう悪戯心である。
 しかし、ジャンケンで一番に勝ち抜けたのは俺で、おーくんは最下位。
寝床の配置は…丹羽の寝るベッドから平行におーくん、平井、俺、クピンの順。
ここでカギになるのは丹羽の寝るベッドがパイプベッドであるってこと。
そのベッドの下は空洞になっているわけである。
要するに、そこから冷たい風が対流してくるということだ。
 その結果、一番寒いポジションに位置したうえに、一緒の布団で寝ていた
平井に布団を巻き上げられ、この年はおーくん一人が凍えて目を覚ます結果と
なったのであった。
ちなみに俺とクピンコンビの方は、特に争い事もなく、平和な朝を迎えていた。
 そこで今年おーくんはリベンジに燃えて、寝床争奪戦の話題を出してきたのだ。
しかも乾杯を交わした直後に、だ。(正確には、乾杯前にもこの話題を出して、
おあずけをくらって、乾杯後に仕切りなおしたんだけどね)
今年もその戦いはジャンケンによって雌雄を決する。
まず、真っ先に最下位が決定したのは………クピンだった。
そしておーくんが一位をもぎとり、俺、平井の順で続く。
勝者から希望の位置を選んでいくわけだ。
 しかしここでネックになるのは、場所も重要だけどペアも重要なところ。
一昨年は場所に関わらず凍えることになったクピン。その相手はおーくんだった。
そして去年は寒いポジションで、さらに平井に布団を奪われたおーくん。
一方、一昨年は俺と平井のコンビ、去年は俺とクピンのコンビが
平和な朝を迎えている。
 つまり、勢力図で言うと…

平井 > おーくん > クピン

…の順で布団強奪力に強弱があることがわかる。
俺の場合はこの三つ巴の騒乱を繰り返す乱世にある、永世中立国的な立場だ。
 それを踏まえると、トップに立ったおーくんは寒いポジションを回避する事は
できるものの、俺と平井の選択によっては天敵の平井と組むことになってしまう。
しかも、おーくんは言うまでもなくクピンと組むことを望んでいるから、
トップを取ったにも関わらず、ベストなポジションがどこになるのかを
判断しかねてしまい、さらには最下位で不利な状況に立たされているクピンと
あーでもないこーでもないと激論を繰り広げる。
 そのままこの話題で1時間半ずっと盛り上がりっぱなし。
やっぱりクピンとおーくんがそろって口論を始めると爆笑を禁じえないですね。
特におーくんが水を得た魚の如くおもしろくなるんだよね。
さすが高校からの長い付き合いになるだけのことはある。

 そんな感じで、会話のほぼ全てを領土問題でもめた俺達は、23時を過ぎた
頃に丹羽宅へと帰還。そしてまずは布団を敷いてみて、領土問題にケリをつける
ことになったのだが、ここで丹羽からひとつ提案が。
「今年は丹羽のベッドに対して直角に布団を敷いてみようか?」…と。
そうすれば、ベッドの下からの冷たい風に悩むこともなくなるんじゃないか、と。
 それは確かに的を得た話ではある。
冷たい風を一人が全身で受け止めるよりも、そっちに頭を向けて寝た方が
ダメージは少ない。って言うか、頭が冷やされるぶんには、苦痛もないはずだ。
しかし、難点があるとすれば、窓の存在。窓っていうかガラス戸かな?
そこは風は来ないかもしれないけど、直接冷気が漂っていることは必至だ。
どっちにしても、誰か一人が寒さの厳しいポジションに立つことになるのである。
 でもまぁ、試しにってんで今年は配置を変えて寝てみることにする。
そして注目のポジショニングは…(寒い窓際から①②③④とする)
トップバッターのおーくんが②を選択。
①はもちろん、虐サイドで隅っこになる④も避けるとなると、
②か③を選ぶことになるのは自然な結果である。
なんで②を選んだのかは不明だけどな。
 そして2番手の俺は、もちろん③を選択。
後は平井が①を選ぶか④を選ぶかで、流れが大きく変わってくる。
言うなればキーパーソン平井だ。
しかしここでクピンが必死の抵抗を試みる。
アビリティ「説得」を発動したのである。まぁ、悪あがきとも言うけど、
押しの弱い平井に対しては有効な戦術だと言えよう。
ただ、内容は稚拙でしたね。所詮は悪あがきですから。
「大丈夫だって、窓際って言ってもそんなに寒くないで、そっちでいいら?」
ってな感じの根拠0の説得だったさ。
しかしそんな根拠のない説得にも屈してしまうのが平井さんのキャラ。
結局一番寒い①の位置を平井が選択し、クピンは④の位置を獲得することに。

 

 それから……俺とクピンのペアはその直後から眠りに落ちたんだけど、
平井とおーくんはPSPでゲームをやってたみたいですね。
たぶん日付が変わるぐらいまではやってたんじゃないかな?
平井が「久しぶりにゲームしながら寝てるおーくんを見た」って言ってたから。
大学の頃は日常的によく見る光景だったのよ↑コレ。俺とかモッチィは
「アレは神様かなんかから、眠くてもゲームを続けなきゃいけないっていう
試練みたいなものを与えられてんじゃないか?」って話してたぐらいで、
主にダビ○タをやりながら、座ったままウトウトしはじめ、しばらくして
気がつくとポチポチとボタンを押してゲームを進め、またウトウトし始めるのだ。
それだけ眠そうなのに、ゲームのコントローラーを手放すことはなく、
横になって寝ようともしない彼の光景は、苦行に耐える修行僧みたいだったのだ。
苦行の先に待っているものは、「悟り」ではないことは確かですが…
 そんな感じで迎えた翌朝。お待ちかねの結果発表だ。
なんの?って、そりゃ~今年寒さに凍えた人の発表ですよ。
誰も凍えることなく平和な朝を迎えようなんてのは、このメンバーじゃ不可能よ。
結果……
………
……

敗者・おーくん!!

どうでした?予想は当たりましたか?
今年も去年に引き続き、おーくんが負け戦となったんですねぇ。
しかもジャンケンではトップを取っていたにもかかわらず、クピンの悪あがきに
やられて負けを喫するという、おーくんにとっては屈辱的な結果。
浜松に帰ってくるまで、何度も話題に昇りましたからね。
 この詳細を説明すると、こんな感じになる↓
今年は例年に比べて毛布の枚数が多く、そのうえ俺もいつものように
My毛布を持参して行っていたから、人数分+1枚の毛布と2枚のかけ布団が
支給され、ひとり1枚の毛布と2人で1枚の布団、そして一番上に共用の毛布が
1枚という、豪華な布陣になった。
これでも平和な朝を迎えられないのだから不思議なものである。
まぁ、「コレならいけるんじゃね?」と言いながらも、全員無傷の朝なんてのは
誰も予想してなかったけどね。
 その雌雄を決するきっかけを作ったのは、今年も平井さんだ。
思い出してください、平井さんのポジションを。そう、一番寒い窓際でしたね。
右側には冷たい窓があり、左側にはコンビを組んだおーくんがいるわけだ。
寝ている平井は当然右側が寒い。すると眠りの中での生活を得意とする平井さん、
無意識にも強制的に眠りを妨げようとする寒さに対して、オートで反応を始める。
完全な無意識の状態で寒さからのバリケードを築き始めるのである。
その素材として手っ取り早いのは、当然自分の使っている布団や毛布だ。
もちろんその布団や毛布ってのはおーくんとシェアリングしている共用の、だ。
そうすると、自分の毛布で窓との間にバリケードを築き、余った毛布だけでは
充分な暖がとれず、おーくんとの共用の布団を奪い取る…と。
したがって必然的におーくんは、毛布1枚で朝を迎える事になるのだ。
 ちなみに4人で共有していた毛布は、はじめは平井のバリケードの建築に
借り出されていたのだが、明け方に寒さで目を覚ましたクピンが強奪し、
結果的には俺とクピンの上で保温活動をしていました。
俺なんかはむしろ熱くって夜中に1回目を覚まし、腕を布団から出した状態で
寝ていたのですが、同じくその直後に目を覚ましたおーくんが、
俺の上に布団をかけなおしてくれていたらしい。
それでいて結果的に1番寒い思いをしたのがおーくんってのが…ね。
実に俺ららしい結末だと思います。
 それにしても、争うことなく漁夫の利を得ている俺ってのも、
毎度毎度の結果なんですが、単にキャラクターによるものなんでしょうか?

 そんな感じでみんなが目を覚ましたのは8時過ぎ。
紆余曲折はあったものの、誰も風邪ひいたわけでもないし、長い睡眠を
確保してたわけだから、この早起きも当然の結果だ。
…でも、活動を開始することになったのは10時を過ぎてからでしたね。
2時間もの間、平井、おーくん、クピンの3人はPSPでゲームですよ。
俺と丹羽は布団の中でウダウダしたまま、ゲームで盛り上がる3人を
楽しんでいた。お互いに文句を言いながらゲームを続ける3人は、
ゲーム以上の面白さをかもし出してましたからね。

 活動を開始すると、こちらも恒例となった定食屋「グリル さんか亭」へ。
今年も美味くって、驚きの量のカニクリームコロッケ定食を堪能♪
その後も去年とまったく同じパターンでギャンブラーどもはパチ屋へと移住。
去年はなにもすることがないまま、3時間ぐらい暇を持て余していた俺だけど、
さすがに今年も同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。
 そこで俺は、丹羽とともにディーラーめぐりに行くことにした。
こないだの日記に書いたように、コンパクトカーに興味がわいてた俺は
TOYOTAへ行ってポルテに試乗してみようと思っていたのである。
で、ついでに最新のオデッセイにも乗ってみたくってHONDAにも。
 ポルテって高いんだね。あのサイズで200万ぐらいなんだ…
しかも実燃費も12km/lぐらいって……
内装のチャッチさは予想通りだったけど、コストパフォーマンスの悪さは
予想以上でした。オデッセイの方は良くも悪くも予想通りな感じで、
「やっぱりおまえが一番さ」…と、プレサージュへの愛を深めた結末です。
「浮気して、自分の彼女のよさを再確認した」ってのはこういう心境なのかな?
別れるリスクを犯してまで、俺にはそんなことはできないですが。

 一方ギャンブラー3人組の結果は、領土紛争では負けを喫したおーくんが
26000円ぐらい勝って、平井さんも1万円勝ち、途中まで大敗の様相だった
クピンが最後に巻き返してたものの、惜しくも敗北っていう結果だったらしい。
これでおーくんの岐阜での勝率は85%ぐらいになると言う。
うぅ~ん、来年以降も丹羽宅ボードには確実にパチが付きまとう結果ですね。
 その後は時間的にそのまま解散し、俺達は丹羽と別れて浜松への帰路についた。
浜松に着くとメシを食って解散ってことになるのだが、ここはパチで勝った
おーくんのおごりになるのが自然な流れ。
そこでウナギを食べて解散することになった。
美味しいウナギを堪能して、お会計は12000円ほど。
1万をパチで買ったおーくんがおごってくれて、端数を平井とクピンが負担。
(クピンはボード旅行の前日にパチで勝っていたらしい)
 そして、来年は誰のおごりになるのか?!って話になったんだけど、
ココはさすがに罪悪感を覚えるのが俺。
だって領土紛争と同様で、ここでも一人損する要素がないまま得をするのである。
そんなわけで、来年以降は3人ともパチで負けた場合は俺がおごることに。
それなら俺も1万ぐらい勝負した方がまだアレなのかなぁってなことも思って、
ポツリと言ってみたんだけど、3人ともマイナスで終わるってのは少ないんじゃ
ないかってのと、もし4人とも負けたら岐阜からの帰路が辛くなるってことで、
相変わらず俺はギャンブルにも染まらないまま、潔白な土地をキープすることに。
果たして来年は、誰がおごることになるのか?!
平等性が出てきて、さらに楽しみになってきましたね。

 

 さて、こんなところで2009年の丹羽宅ボードツアーのレポは御開きです。
こうして実行してみると、兎以上にバカやってますね。
最近は兎もおとなしいからねぇ。
女性陣もいるし、人数も増えたし、みんな忙しいし、なかなかバカやれない。
「どうやって寝るか」で、2時間も話してられないもんね。
前は似たようなことを兎の4人でもやってたんだよ。
移ろわないものはないんだねぇ。良くも悪くも。
変化したからこそ得られたものとか、経験できたことってのも多いけど、
やっぱりバカやれる空間ってのも必要だと思うから、このボードツアーだけは
いつまでもバカやりながら、ずっと続けていきたいな♪

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筒井家潜入 3日目「プロレス技のような妙技」

筒井家潜入 1日目「平井寒さに凍える」
 筒井家潜入 2日目「毛布がなければコートを買えばいいじゃない?」
の続きです。

 土曜日、銭湯に行って、夕飯を食べて、筒井家に戻ってきて、時間は1時頃。
でもまだ寝るわけではない。その前にどうしてもやらないといけないことが!
それはもちろん競馬予想だ。平井さんはコレで6万円オーバーのコートを
購入するかどうかが決まってくるし、俺や筒井も翌日の夕食に関わるからである。

 そんなこんなで寝たのは2時過ぎかな?
この夜は平井さんも、筒井さんにフリースのブランケットを借りてたから、
それなりに快適に寝れたらしく、翌朝起きたときにはすでに平井の姿はなかった。
独り早起きをして、競馬場へと単身遠征していたのである。
こういう時の行動力には凄まじいものがあるね。
俺が一緒にいるツレを放置して単独行動に走ったのなんか、京子と修羅場った
ときぐらいのもんだからねぇ。俺のものさしで言ったら、平井にとっての競馬は
それと同じレベルの出来事ってことになるけど、どうなんだろね?
 それに次いで目を覚ました俺と筒井さんでしたが、筒井さんは美容院の予約を
入れてあったらしく、俺はひとりで筒井家にお留守番。
筒井が一人暮らししてたときと変わらない対応なのは個人的にビックリです。
そこはまぁ、リビングとトイレと洗面所ぐらいにしか立ち入らないから
って事なんだけど、新居にひとりでお留守番は意外な展開でしたよ。

 筒井と平井が戻ってきたのは正午頃のこと。
その間俺はでっかいHDテレビで「いい○も増刊号」を堪能してのんびり。
3人が揃うと、今後の展開を考え始めたけど、相変わらずのノープラン。
とりあえず金曜からチラホラと話題に出ていた温泉が有力で、それをどうやって
彩って楽しい一日にするかっていうコンセプトである。
 とりあえずは昼食にラーメンを選び、筒井家を出発。
もちろんその後のプランはまだ何も決まっていない。
ラーメンを話しながら決まったのは、俺と平井が買い物中になんとなく
話していた「卓球温泉プラン」を軸にすること。
せっかく温泉に行くんなら、体動かして汗かいて、温泉をより充実させよう
っていうプランだ。
甘さを引き立たせるために塩を加えるっていう、うっかり手を出しちゃった物
ランキングで堂々の1位に輝いた「塩スイーツ」みたいな感じである。
 ただ、卓球温泉をそのまま実行するのにはムリがある。
卓球ができる温泉に行くのには、時間と距離がかかりすぎるのだ。
そこで考えられた妥協案は「卓球温泉」じゃなくって「卓球と温泉」にすること。
卓球は卓球で楽しんで、その後温泉施設に行こうってなわけだ。
 そんなわけで向かったのはRAUND1。
しかし目当ての卓球ができるスポッチャは予想外の混み具合。
受付の時点で行列を目にした俺たちは、あっさりとボーリングに方向転換する。
そのままボーリングを2ゲーム楽しんだのだが、1ゲーム目は平井さんが
スタートダッシュを決めるも、最終的に筒井さんに追いつかれ、
俺は相変わらずの低迷っぷり。
2ゲーム目はまさかの接戦で、9フレーム目までは3人が3点差で並んでいた。
しかも最後は1ピン差で平井さんと筒井さんが争うという好ゲーム。
ちなみに勝者は平井さんでございました。
 ただ、機械の不具合かなんかで、ピンをセットする時点で10ピン揃って
いないって事態がかなり多発して、時間はけっこうかかりましたね。
2ゲーム目の接戦も115点ぐらいでの接戦だったから、筒井と平井が
ペースを乱され、俺がマイペースに得点していった感じだろう。

 ボーリングを終えるとすでに16時過ぎ。
俺たちはそのまま目星を付けていた「竜泉寺の湯」(だっけ?)に向かった。
ここは俺たちの好きな炭酸の湯と、前日断念した岩盤浴とマッサージがあって、
そこが俺たちの選択ポイントになっていた。
 到着してみると駐車場はいっぱい。満車ではなかったものの、空いていたのは
けっこう奥の方の駐車場でした。
中に入ると入浴と岩盤浴のチケットを購入して、まずは軽くひとっ風呂浴びて
館内着に着替えて岩盤浴へ向かいつつ、マッサージの予約をすることにした。
マッサージには美容系と接骨系とタイ古式の豊富なバリエーション。
とりあえずタイ古式の受付に行って、接骨とどう違うのかを聞いてみると、
対応してくれたタイ人(?)のお姉さんは、疲れにはタイ古式がお勧めだと言う。
そこでタイ古式に照準を合わせると、さらには30分コースと60分コースで
検討を進める。お姉さんは60分の方がそりゃ~いいに決まっていると言うが、
お値段の方は10分×1000円+αぐらいだから、30分コースでも
4000円弱になる。
悩みながらも「30分のコースに気合を入れてやってもらおう」ってことで、
3人揃って30分コースを予約。
 時間的には17時過ぎだったから、1時間半後ぐらいかなぁってことで
19時に予約を入れることにしたんだけど、もっと遅くしておけばよかったね。
岩盤浴を堪能していうるといつの間にか18時半近くになってて、
名残惜しみながらも浴場へ移動することになった。
 浴場に移動したら今度はその混み具合にやられましたね。
俺はそうでもなかったんだけど、筒井さんは回りではしゃぐ子どもたちには
さすがにちょっとイラっとしたって言ってたっけ。「そんなに動き回ったら、
湯の炭酸がぬけるだろうが」と心の中で吠えていたらしい。
 時間もなかったから、続いてマッサージルームに移動。
俺は露天風呂に移動したタイミングが悪くって、ちょっと遅刻しちゃったっけ。
急いで追いかけると、途中でマッサージのチケットを買い忘れたりしてドタバタ。
タイ人のお姉さんには「あらあらこのコは」みたいな目で見られちゃいましたよ。

 マッサージは高反発マットみたいなのの上に、「く」の字になった器具が
置いてあって、その器具には丸い穴があいている。
そこにうつ伏せになって、穴に顔をはめ込んで寝っ転がるのである。
上体をそらした感じでうつ伏せになるわけだ。
で、その状態でマッサージが始まるんだけど、基本は上から押さえつける感じ。
腰のあたりからグイグイ押さえつけられつつ肩の方に圧力が移動してくるたびに、
「ぐぇ」っていう声が出そうになってしまう。
そこに関節をグリグリやられたり、伸ばされたりするようにストレッチのような
マッサージが加わる。
このストレッチみたいな動きがタイ古式の特徴になる。
コレが痛いんだけど効いてる感じがするんだよね。
実際にマッサージが始まると、30分コースにしたことを軽く後悔したもの。
 しかしストレッチって言っても部活なんかでやる柔軟体操とは一味違う。
マッサージ師にプロレス技をかけられているような勢いと言っても過言ではない。
腰とか背中を伸ばしたりひねったりっていう動きのときなんか、
冗談抜きで卍固めみたいな感じだったからね。
「力抜いてください」って言われて、技をかけられるように腕を肩に
かけられたり、足で腕を固定されたり、マッサージ師のお姉さんはおろか、
自分がどういう体制になっているのかすら把握できない複雑な体勢になる。
 指圧だって、ただの指圧じゃないよ。
うつ伏せになった状態で寝てる俺の上をまたぐような体勢で、
俺の肩のあたりにマッサージ師の腕が置かれる、……かと思ったら
圧迫されたのは予想外に背中のあたり。つまり膝で指圧するわけだ。
もうそれは「指圧」ではないよね。だって「膝圧」だもの。
 そして、ハタから見てたらずいぶんと恥かしいポーズなんかもとらされました。
だってうつ伏せで力を抜いた状態で、股を開かされるだけでもかなり恥かしい
体勢になると思うのに、さらにそこからストレッチさせるわけだからね。
たまにマッサージをしてくれてるタイ人のお姉さんたちの雑談と笑い声がして、
マッサージしながら何かあざ笑われているような感じがしたね。
マッサージをするマットは4つ並んでて、そのうちの3つを俺たちが占拠し、
残りの1枚には知らない人がいたんだけど、マッサージをされている方は
うつ伏せで身動きも取れないから、自分も回りもお互いにどういう体制に
なっているのかはわかんなくって、その状況がよけいに不安感を煽っている。
まな板の上の鯉っていう心境にならないとあのマッサージは受けれないかもね。
もともと知識として知ってたら敬遠してたかもしれないよ。
ただ、「痛い」って言っても効いてる感じのする痛みだし、体もほぐれて
気持ちいいことは確かだもんで、つぎに挑戦するとしたら60分コースだな。
マッサージ後にはそのまま帰路につくことになって、もちろん車中の話題は
マッサージの感想で盛り上がってたんだけど、お互いに「このドMが!」って
ツッコミを入れあうような会話も出てたっけ。

麻生:あそこまで体ほぐしてもらえるんなら、やっぱり運動した後の方が
   効果はでかかったかもしれないね。
筒井:いやぁ、体を酷使してからっていう発想はMですなぁ麻生さん。
平井:肩とか「えっ?!」っていう方向に持ってかれたよね?
麻生:関節技かって言うような伸ばし方されたもんな。
平井:あれが効いてるんだからビックリだよ。
筒井:「俺に関節技をかけてくれ」と。平井さんも言いますなぁ。
平井:いやいや、そうは言ってないだろう。
麻生:あとマッサージ中に笑ってるのが気になったよね?
   変なかっこうにさせられてんじゃね?大丈夫?って思ったよ。
筒井:あぁ、たぶんアレは俺の体制を笑ってたな。
平井:見られたい気持ち満々じゃないっすか?

 で、結局のとこの「竜泉寺の湯」の総評は、かなり高いものとなりました。
まず大好物の炭酸泉が一番でっかい浴槽だったことと、露天風呂も広かったこと、
岩盤浴+入浴で700円っていうコストパフォーマンス、そして一同大絶賛の
タイ古式マッサージと。
ムリなのはわかっているけど、マッサージがもっとお手ごろ価格だと
評価はもっと上がるんだけどなぁ。
個人的には受付のお姉さんも好みで、ちょっと幸せ気分だったし♪
 これだけの充実っぷりだからしょうがないとは言え、あの混み具合だけ
なんとかなればなぁ。(帰る頃には駐車場もすいてきてたけど)
悔やまれるのはあれが日曜日だったことですゎ。
もし土曜日だったら、もっとゆっくり堪能できたのに…

 最後に夕飯。
ボーリングやって、岩盤浴でリラックスして、炭酸泉で汗を流して、
マッサージで疲れを癒して…ココまでやってくどい食べ物を食べる気分には
ならなかったもんだから、夕食は寿司に決定。
しかも、ここまで贅沢に来たならってことで、高いけど美味いっていう
回転寿司に行くことが決定。
3人ともだいたい10皿ぐらいで2500円~ってなお値段だったかな。
昼は「何する?」って言ってグダグダなテンションだったけど、
振り返ってみれば右肩上がりに楽しんでいくあたりが兎魂ですね。
あのグダグダな感じも、一切合財ノープランなところも、しかもそれでいて
誰にも気をつかわずにリラックスして流れに身を任せられるところも、
ずいぶん久しぶりな兎団の感じでしたね。
新メンバーとか女性陣がいるときは、失敗しちゃいけないとか、
みんなに楽しんでもらいたいっていう気を張っちゃうけど、
初期の4人の間でなら「失敗もアリ」って気持ちで楽しめるんだろうな。

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地球を守った疲労感

 ふっふっふ……早速やっちゃったよ!チケット予約。
もう変更もキャンセルも効かないんだって。
見くびんじゃないよ、誰が見逃すもんか!!
 ただ、ユナイテッドシネマって全席指定じゃないんだね。
予約画面を進めていったら「自由席」になってたよ。
せっかく早くからチケットの予約ができるのに、自由席って意味なくないかな?
チケット買うのには並ばなくていいかもしれないけど、結局は早めに行って
並ばなきゃかんじゃんね?今からチケット買っといて、最前列だったら泣くよ。
 でもあれか、指定席じゃないから後から一緒に行くツレが増えたり、
別々にチケット予約しても、当日一緒に並んで見れるってのもあるか。
サイトもTOHOより予約システムがわかりやすかったし、モッチィの話では
けっこう人気の映画館で雰囲気がよく、浜松からわざわざ豊橋まで映画を見に
くるような人もいるって話だから、映画館自体もちょっと楽しみ☆

 

 さぁ、最後の週末レポは名古屋のIKD宅を訪問した土曜日のお話。
当日は平井がクマーチョ、俺、モッチィの順に参加者を拾って、
名古屋へと向かうことになっていた。
浜松出発が10時って聞いてたから、9時過ぎに起きるつもりでいたんだけど、
当日はアラームの一歩手前のモッチィからの電話で目を覚ました。
 電話の内容は「今どこ?10時に来るんじゃないの?」って内容だった。
「えっ?!俺んちに10時って聞いたから、まだ合流もしとらんよ」
と答えると「なんだよぉ、もうひと寝入りだよ」と電話をきるモッチィ。
でも、けっきょくそのまま起きて仕度をしてたら、仕度ができたのとほぼ同時に
平井たちが迎えに来たから、絶妙な時間に起きたことになる。

 俺は平井が運転するエスティマに乗り込み、ファンキーなBGMに
包まれながら、豊橋のモッチィの家へと向かうのであった。
モッチィ宅に着いたのは10時半ごろ。予定よりちょっと早かったが、
サービスエリアに寄って、名古屋に着いたのはちょうど12時ぐらいで、
帳尻が合った計算になる。さすが、俺が運転して行っただけのことはあるな。
ちなみに何で平井のエスティマを俺が繰ったのかと言うと、DSでゲームに
夢中だったらしい平井が、一睡もせずにやってきたことが原因である。
 IKD宅に到着すると、IKD家の愛犬「モモ」は俺たちを歓迎してくれた
のだが、IKDには危うく締め出されるところだったさ。まぁ、お約束ですな。
しばらくIKD家でモモと戯れると、近くの居酒屋へと移動。
別に昼間っから飲もうってんじゃないよ、さすがに。
その居酒屋は昼は定職屋として機能しているらしいのだ。
確かに、美味しい料理だったよ。
俺とIKDは海鮮丼の定食、モッチィはトリカラ定食、フライの盛合せ定食で、
平井は「健康に気遣って」と言って白身魚と野菜のあんかけ定食を選んだ。
お値段は900円から1000円ぐらいだったから、お手ごろ価格。
海鮮丼の味としては、磐田のあそこの方が美味かったけど、家の近所にこんな
定職屋さんがあるのはいいねぇ。

 食べ終わってからもしばらくお茶をすすりながら話してたんだけど、
その話題はと言えば「これからどうするの?」って話。
事前にクマーチョから連絡があって、当日は10時に出発して
参加者である俺、クマーチョ、平井、モッチィが集まりしだい、
昼メシを食べて名古屋へと向かうか、名古屋でIKDも含めてメシに行くか、
っていう流れを聞いていた。
俺としては1日まるっと空けてあったから、「いつでもいいよぉ」って返事を
してあったんだけど、モッチィとIKDは「夕方集合で飲みスタートで
いいんじゃない?」ってなことをクマーチョに進言していたらしい。
 で、「どーすんのさ?やることないべや」っていう話になったのである。
モッチィはせっかく名古屋まで来たし、手帳と手袋が欲しいから買い物に行こう
って言ってて、俺もIKDも賛同の流れだったんだけど、ひとまずはIKD宅へ
戻ろうってなったところで問題が発生。
IKDに着くや否や、平井とモッチィが仮眠に突入しだしたのである。
モッチィの方は横になるって程度だったんだけど、平井の方はマジ寝だ。
「名古屋になにしにきたの?」と問われれば、間違いなく「寝に」だろうな。
身動きが取れなくなった俺達は、IKD宅でひたすら地球を守ることになった。
巨大な昆虫群を駆除したり、巣穴に攻め込んで元凶をつぶしたり…

 そんなことをやっていたら、IKDとクマーチョの高校時代のツレである
松下が到着。どうやら俺達の来訪を知って連絡を取っていたらしい。
この松下氏、俺にはめちゃめちゃ印象深いエピソードがある。
それはまだ俺達が大学生の頃の話で、すでに名古屋で働いていたIKDは
名古屋で一人暮らしをしていて、ふと俺一人で遊びに行ったのだが、
それ以前に静岡で一度だけ会ったことのある松下が「麻生が来るなら」と
言って一緒に遊ぶことになっていたらしい。
しかし、当日松下はなかなか姿を現さず、けっきょく3人が合流したのは
夜になってからのことだったのだが…
遅れてきた理由が「彼女が入院したから」だったのには驚いた。
「えぇっ?!こんなとこ来てていいの?」と返すと、
「いやいや、ヤベッチが来るのに会わないわけにはいかんでしょう」…と。
正直言って俺のどこにそんな求心力があったのか、いまだに謎である。
 ちなみに松下は翌朝早くに病院へ戻って行って、それ以来直接会う機会が
なかったからあの時の話をしたかったんだけど、どうやらその彼女と結婚して
今では2歳になる子どももいると言う。
モッチィも言ってたけど、松下氏には特別なオーラを感じるんだよね。
これからもまた一緒に遊びたいものである。

 話は戻ってIKD宅。
松下が合流してからも、ひたすら地球を守る。
IKDたちの高校のツレがもう一人合流するというので、その尾形氏を待つため、
さらなる地球防衛戦を繰り広げたということだ。
ちなみに尾形氏とも面識があって、一緒にスノボをしに新潟まで行ったっけ。
 しかしその尾形、連絡がつかない。しかも昼の時点では京都にいたらしい。
20時頃まで待っても尾形との連絡はとれないまま、痺れを切らした俺達は
先に居酒屋へと移動することになった。
その瞬間、俺達が耳にした呼び鈴。これ以上ないタイミングでしたね。
そして「あれ、なんでみんな立ってるの?」っていうコメント。最高!!

 居酒屋に移動してからはしばらくアイドリングが必要でしたね。
なかなか場があったまんないのよ。昼からずっと一緒にいたからなのかな?
21時を過ぎたあたりでIKDの奥さんが合流。この日は仕事だったらしい。
 下戸のIKDとは反対に酒好きの奥さんが参戦してようやく盛り上がり始める。
それでも俺とモッチィが一番しゃべってたかな、やっぱり。
IKDが俺達を中心にまんべんなくみんなにからんで、奥さんもIKDと
俺達を中心にトークする感じ。
 しかしココでも盛り上がったのは平井の話でしたね。
昼に「健康に気遣って」白身魚の定食を食べたにもかかわらず、
マンゴージュースを数え切れないほど飲んでいましたね。
最初の乾杯直後、誰も気づかないほどの短時間でグラスを空けた平井には、
もうマジシャン疑惑まであがったほどだったさ。
 あと印象に残ってるのは、奥さんが以外にも過去にギャンブラーだったこと。
翌日の競馬が気になってた平井さんに対して、「馬券はパドック見て買わないと」
っていう玄人発言が飛び出すぐらいだったもん。
酔ってらっしゃったんでしょうな。もうほぼ素のキャラだったんじゃないかな?

 結局この日も店を出たのは1時過ぎだったかな?
帰りは平井が飲んでなかったし、睡眠も充分なはずだから、平井の運転で帰宅。
IKDの奥さんは「大丈夫?泊まっていけば」って言ってくれてたんだけど、
クマーチョは翌日夜勤だったし、モッチィも翌日はデートの予定だったから、
丁重に辞退させてもらった。まぁ、そうじゃなくても…ね。
ただ、帰りの車の中は死屍累々って感じでしたね。
そりゃ~ずいぶん長い時間地球を守って市街戦を繰り広げたり、地下の洞窟を
駆け回ってたからあたりまえですよ。
あまり寝ないタイプの俺ですら、途中何度か記憶が途切れてから、疲れてんだね。
まさかあの地球防衛戦が翌日にまで響くとは思わなかったけど、
家に着いたのが4時じゃ仕方がないのかもしれないね。

 そんな感じで、疲労が濃かったわりにほとんど地球を守ってただけだったけど、
楽しく過ごせた名古屋Lifeでした。
惜しむらくは、車やバイクで来てた松下と尾形も飲めなくって、
最終的に8人も集まったのに半数がシラフだったことかなぁ。
またしても俺達だけで盛り上がっちゃった感じだったし。
次は年明けに集まろうって話だから、その時はみんなでワイワイできるといいな♪

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2008年平井BD

 はい、この週末は平井のBDPでしたよ。
今回は姫が幹事をしてくれていたんだけど、風邪で欠席。
幹事不在のまま「頼みます」っていうパスを受けて開催されることになった。
集まったのは俺と筒井と平井とモッチィ、そしてリーダーとサトツ氏の
男ばかり6人と、その中に紅一点の姉さんである。
姉さんも体調が悪いから欠席するってな連絡が入ってたんだけど、
直前になって「やっぱり行く」と。
姉さん不在の方向で動きを決めてたから、若干バタバタしちゃったね。
姉さんの参加報がもうちょっと早かったら、リーダーも遅刻しなかったかもだし。
まぁ、何はともあれ一人でも多く集まれるのは嬉しいことだよね。

 当日は19時半から開宴ってことで、19時に姉さんの家に集合。
この連絡が来たのが18時過ぎてたからね、そりゃバタるって。
そのへんの動きの変更でリーダーがちょっと遅れてくることになり、
仕事が入っていたモッチィも遅刻。
そんなわけで俺、筒井、平井、姉さんの4人が集まって街へと繰り出していった。
 この日の移動手段は平井のエスティマ。
元々お酒が苦手な平井なのだが、ここのところさらに酒に弱くなって、
アルコールを摂取すると腹痛に襲われる体質になってしまったらしい。
そんな副作用は聞いたことないから、勘違いか気分的なものだと思うんだけど、
無理強いすることでもないし、車を出してもらえるのは願ってもないから、
黙ってその作戦に便乗することになった。
 お酒って味より雰囲気だと思うから、お酒が苦手な人ってのは
楽しく飲んだ経験がない人のように思うのは俺だけかな?
味だけで言ったら特別美味い飲み物ではないからね。

 店に着いたのは19時45分頃。
姉さんが欠席の予定だったのと、モッチィが仕事で遅れてくることを
想定してたもんで、店の予約は4人になっていた。だからすでに満席なわけだ。
 とりあえずは4人で平井のBDを祝って乾杯をかわすと、
用意されていたモツ鍋を囲んで開宴。
30分もしないうちにリーダーが近くまで来ているっていう情報を得て、
料理と即席の椅子を用意してもらう。
やがてリーダーはモッチィとともに登場。
急遽もう一人分の料理と椅子を追加してもらって、6人が合流することになった。
どうやら同じ電車に乗っていて、駅でお互いの存在に気づいたらしい。
 BDPの店は和民だったんだけど、俺達が案内されたテーブルは
1階の半個室のところ。
1階の席だとね、来客の案内とかお会計とかをしながらの対応になるからだろう、
オーダーしたドリンクがなかなかこないのよ。
だから当然、改めての乾杯がなかなかできないわけ。
で、あまりにも遅いもんだから催促をするんだけど、そんなやり取りのなかで
見つけたのが通称「ヤッシー」、語源は「八嶋」ね。
何か頼んだりすると、「はい、すぐにお持ちします」という柔らかいものごしで
対応してくれるんだけど、そのときに親指を立ててビシッと胸を指すような
動作をするのである。それがね、トリ○アの泉のヤッシーを連想させたわけだ。
しかもヤッシーに頼むと、そのまま彼が行動に移してくれるんだろうね、
対応が早いわけ。男の店員さんであれだけ印象に残るのは珍しい。
 ヤッシー以外っていうと、何年か前にモッチィと筒井と3人で白木屋で
飲んだときにいた店員さんかな。
その人はずいぶんと几帳面な店員さんでね。
どんだけ几帳面かって言うと、飲み終わったグラスをテーブルのすみに
まとめてよけて置いたりすると、通りがかりに回収して行ってくれるんだけど、
その際に1つ1つのグラスを傾けて自分の目の前に掲げるのである。
で、少しでも残っていると、回収してくれないわけ。
びっくりしたよアレには。逆に嫌がらせされてるのかと思ったさ。
たとえ残ってるのがスプーン1杯分程度でもNG判定だったからね。

 そしていよいよBDPの贈呈。
恒例にならって自信のない人からってことで、まず名のりを挙げたのはリーダー。
そのリーダーからのPはスクラッチの宝くじ(10枚組)だった。
早速、サイフから硬貨を取り出してスクラッチを削り始める平井。
このとき「当たるように」っていう願をかけて、500円玉を使うあたりが
実に平井さんらしいですな。
ただ、1枚1枚にまわりからの視線と期待が集中して、意外なほどの
盛り上がりを見せたため、2枚削ったところでストップをかけて、
その後はPをもらうたびに2枚ずつオープンしていくことになった。
 続いてのPは筒井さんからのPだ。
「ゴールドラッシュだこのやろう!」と言って渡されたPには厳重な包装が。
袋から取り出すと箱が姿を現し、箱を開けるとさらに袋に入っていて、
次は白いミラーマットで巻かれている。
そんな厳重なプロテクトの内から姿を現したのは金の延べ棒だった。
ゴールドインゴットだ。……まぁ、もちろんインゴを模したケースなのだが、
その中から現れた黒い物体には誰もが「?」顔でである。
そこで「傘だよ傘ぁ、折りたたみ傘だよぉ」と種明かしをする筒井。
雨が降り出したらカバンから金の延べ棒を取り出し、その中から出てきた
傘で雨をしのぐ平井の姿を想像すると、笑いがもれる。さすがの選択である。
 そしてお約束のリーダータイム。何の打ち合わせもなく示し合わせたように
「リーダータァイム♪」とコールを送るあたりが兎らしい。
しかしココまでは先の2枚に続き4連敗である。危うし、リーダー。
筒井からも「俺のPが滑ったみたいになるだろぉ、リーダー」
ってなツッコミが入る。
 3番手は俺とサトツさんからの合同Pである。
適度なサイズの袋があったから、それに入れて持ってきただけだったのだが、
Pを手にして袋から中を透かした平井は「あぁ、わかった!」と声をあげる。
中身は5月に見に行ったしょこたんのコンサートDVDだったのだが、
パッケージを透かしただけで気づくとは、さすがアイドル好きの平井さんだ。
 ちなみにその平井さんからは筒井さんへもBDPが。
BBQのときに筒井へのPを持ってきていなかった平井さんが、この日ついに
Pを持参してきたのだが、そのサブBDPはアヴリル・ラヴィーン
ポスターと旗だったらしい。これもLIVEに行って購入してきたのだから、
いくら本人が否定しようと、アイドル好きは間違いないと言えよう。
さらに、そのサブPを持ってきたにもかかわらず、メインのPを忘れてきた
って言うのだから平井らしさ爆発である。
 さぁ、話は戻って恒例のリーダータイム。今回はさっきよりも声がそろったよ。
結果の方は6等(最下位)の500円(?)だ。これで空振りは脱した感じかな?
 続いては姉さんからのP。こちらは「平井さんには悪いけど、私が気になった
から買ってきただけだから。ゴメンね」と言って手渡されたのは、
緑の袋で綺麗にラッピングされたPだった。
見た目だけで言ったら、一番プレゼント然とした出で立ちである。
その綺麗なラッピングから出てきたものは……そら飛ぶ円盤だ!
簡単に言えば手品グッズですな。
姉さんは店頭でそれを見つけて、どうしてもタネが気になったから、
平井さんのPにしてしまおうと目論んだらしい。
筒井さんもこの存在には目をつけていたらしく、「俺も気になってただよ」
と食いついていく。
その場で開けて実演を要求されたものの、パッケージが厳重で断念。
素手で開けられないパッケージには、何かの意思があるのだろうか?
 リーダータイムを経てアンカーはモッチィ。
リーダータイムの結果はまとめて後ほど。
モッチィが取り出したのはドンキの黄色い袋だった。
またしても透かして中を探ろうとする平井に、今回はツッコミが入る。
仕方なくそのまま袋を開けていき、中から出てきた箱には「竹」の一文字。
俺は横から見ていて「なんだ?竹??」と首をかしげたのだが、
流石にムダなほどに勘が鋭い平井さん。
どうやらこの一文字ですでに中身に察しがついたらしく、噴き出したように笑う。
そう、それは麻雀パイだったのである。パッケージのサイズと重量という
ヒントもあったんだろうけど、「竹」からソレに気づくのはムリだよ、普通。
まぁ、平井へのPとしてそのアイディアが出てくることはうなずけるけどね。
 さぁ、最後にリーダーからのPの結果発表でございます。
当選金額の総額は…

 

 

500円が1本!

 

 

 

以上!!

 まぁ、そんなもんだよね。
ちなみに12月BDのリーダーへの去年の平井さんのPは年末ジャンボ宝くじで、
結果は8等が1本。「下ひと桁」ってヤツね。
結果だけ言ったらリーダーに軍配ありだけど……五十pp……ね。
Pとしてはどうなんだろうと思うのは俺だけかな?

 

 いつの間にか2時間が経過して和民を出ると、続いては魚民へ。
字面的にも内容的にもあまり変化がない移動ですが、まぁね。
同じような店に連続して行くのには抵抗があって、色んな案はあったんだけど、
和民系列のコースって料理が多いもんで、おなかがいっぱいになっちゃって、
酒ももうダラダラ飲めればいいやって感じになっちゃっただよ。
 ちょうどそこへサトツ氏も合流してもう一度乾杯。
サトツ氏はまさかのダブルブッキングだったらしく、彼の方も2件目だと言う。
入ったときには「席は2時間までになります」って言われたんだけど、
土曜の夜にしては客足が少なくって、入って1時間もすると、見える範囲にいた
お客さんは、俺達以外では1組だけしか残っていなかった。
(大人数用のテーブルに案内されたたからかな?
 普通の4人掛けとかのテーブルには他のお客さんもいたからね)
 で、7人揃って飲み始めたんだけど、この日は3人ぐらいで話しながら
メンバーが入れ代わり立ち代わりって感じで、みんなでワイワイっていうのとは
雰囲気が違ったかな。
モッチィは久しぶりに兎のこういう飲みに参加したこともあってか、
姉さんとかリーダーを相手にずいぶんと話してたね。
その時は俺や平井も加わってたんだけど、口を挟む隙がほとんどない勢いさ。
また近いうちにこうやって飲む機会があるといいな。

 2時間ていうリミットを切られてたんだけど、客足が少なかったからだろうね、
そのまま2時間が経過しても立ち退き要求が出ることもなく、
俺達が宴を締めくくったのは魚民に入ってから3時間ぐらした頃だった。
それでもスタートが早かったせいもあって、時間はまだ1時頃。
自分の車で来ていたサトツ氏は代行運転を呼んで帰路についていったが、
俺達はそのままコンビニに寄り、食料と若干の酒を購入して民宿へと場を移した。

 民宿ではほとんど飲むことはなく、姉さんが造ってくれたラーメンを
食べつつDVD鑑賞がメインでしたね。
魚民にいた頃からすでに寝に入っていたリーダーは、民宿でも早々に意識を
飛ばしてたけど、みんなが眠りについたのは4時ぐらいだったんじゃないかな?
モッチィなんかは翌日7時半起きでサッカーだって言ってたのに、
さすが兎で一番のスポーツマンだけのことはありますね。
 そうそう、民宿に着いてから、平井さんは早速空飛ぶ円盤に挑戦。
他のメンツがラーメンに夢中になっている間に練習してた平井だったんだけど、
一番見られちゃいけないタイミングの練習を目撃しちゃって、タネが丸見え。
でも、普通に披露するよりもウケてたんじゃないかな?
ちょうどそのとき部屋に居なかった姉さんは、その後の実戦を見て
「おぉ~浮いてるように見える」ってなことを言ってたけど、タネを見ちゃってた
俺達は実演のときにもそこに目が行ってしまったのは言うまでもないだろう。
ただ、これで帰るときにこのアイテムを忘れて帰るのが平井さんだよね。
姉さんにもらったPなのに、姉さんの手元に忘れて帰るんだもん。

 

 さて、こんな感じで平井のBDPレポートは〆さしてもらって、
次回は翌日のチャッククランプのLIVEの様子をお届けいたします。
ボーカルの稲川氏が来月状況することになっていて、チャックとしては
今のところ最後のLIVEになるらしいです。
どこまで迫真に迫ったレポになるかは甚だ疑問だけど、見逃した人にも
リアルに伝えられるようにガンバるんで、楽しみにしていてくださいな☆

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素性はどうあれ、諭吉さんは諭吉さんなのに

 今週末は平井さんのBDPでございます。
主賓とは言え、相変わらず来るのかどうかの連絡がつかなかった平井だが、
一昨日あたりにようやく連絡がついて、参加の意思を確認することができた。
 平井さんと言えば現在のところ流行の最先端(からは一歩後退したかな?)の
「ニート」と呼ばれる存在に位置している。
契約社員で工場勤務だったんだけど契約期間が満了して、再契約するか
転職するかっていう岐路に立っているのである。
 ニートになる前の平井は時給のいい工場勤務だったため、
大学時代の赤貧生活を返上するかのような稼ぎっぷりで、「やっぱり人間は
金を持ってないとダメだ」とか「世の中、金だ」なんていう成金発言を
していたんだけど、契約期間の満了を前にして再就職をするときの自分を
思い浮かべて、「俺は金がなくならないと働かない気がするから、
まずは金を使おう」なんて言ってたんだけど、電話でその辺の話を聞けば、
「最近パチの調子がよくって、今月は普通に働いてる並に勝ってるよ」と、
上機嫌のコメントを吐いた。
しかもその勝ち分の儲けは、ほぼ丸々競馬資金として取ってあり、
競馬資金はすでに20万を超えていると。
……20万あればギャンブルなんかせんでも、充分な買い物ができるのにな。
一方、プラズマテレビの購入も同時に目論んでいて、そっちの資金も貯め始めた
らしいのだが、そっちの資金は1万円だと言う。
競馬資金の20万を使えば36型ぐらいのTVは買えると思うだん……
平井は「どっちにしてもパチで勝った金だからな」という軽いコメント。
単純に考えたら、プラズマテレビを買うことよりも、20倍以上競馬を楽しみたい
ってことだよね。…彼が実際にTVを購入するのはいつになることやら。

 それはともかく、今週末のBDPには主賓の参加が確認できてよかったな、と。
姉さんあたりは「チョモさんがこなかったらどうするの?」って言って、
けっこう心配しとったからね。
 他には誰が参加するのかな?
今回の幹事は姫がやってるんだけど、店の予約時間は聞いたものの、
人数とかは一切聞いてないんだよね。
俺、姫、姉さん、リーダー、筒井、モッチィ、平井の7人は参加確定かな?
サトツ氏は2件目ぐらいから参加らしいけど、姫は知ってるんだろうか?
あとは山本夫妻と麻衣ちゃんだけど、連絡が行ってるのかどうかも微妙な気が…
山本夫妻のところには、姉さんから連絡が行ってると思うけど。
その辺はちっと確認をしておこうかな。

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そうだ、京都へ行こう!3~競馬編~(後編)

※「そうだ、 京都へ行こう!1~美食編~
 「そうだ、 京都へ行こう!2~観光編~(前編)
 「そうだ、 京都へ行こう!2~観光編~(後編)
 「そうだ、 京都へ行こう!3~競馬編~(前編)
 を読んでいただくと、さらにお楽しみいただけます。

 

 翌朝、携帯のアラームで目が覚めたのは7時ごろだった。
朝食が7時半からと言うことだったので、着替えて部屋でTVを見ながら
のんびりしていた。TVのニュースからは新潟で起きた大きな地震の話題で
もちきりだった。そう言えば前回の京都の旅でも、帰り際に地震がおきていた。
俺達は高速で車の中だったから、地震には気づきもせず、雷の方がよっぽど
怖かったが、新潟の様子は前回の和歌山の地震よりもかなりひどいもので、
思わずTVに見入ってしまった。嫌がおうにも一昨年の新潟の旅で眺めた
綺麗な景色が思い出されて、心配が心をよぎる。
 とは言えいくら京都で俺たちが心配してもせん無いこと。気持ちを切りかえて、
朝食を待つことにした。しかし、いくら待っても朝食が来ない。
確かに部屋で食べると伝えたのにである。9時近くなっても何の音沙汰もない。
仕方なく我々は出発の仕度をするとフロントへと降りていった。
フロントで事を伝えるとホテルマンは「すいません」と言って、宿泊費から
朝食代を差し引いて、残額の9000円(一人あたり)を支払うと宿を後に
するのだった。
 宿を出るとひどくのんびりとした空気に包まれ、気持ちのいい朝だった。
四条烏丸駅から地下鉄に乗り込むと、京阪線の駅近くまで行き、
そこから京阪線の駅までは歩いて行く。
京阪線に乗り込むと、その乗客のほとんどはやはり競馬場へ向かう人たちの
ようである。競馬新聞を片手ににらめっこをするおじさん、大学生風の4~5人
のグループ、中にはカップルまでいる。しかしその全ての人たちは皆一様に
笑顔をたたえていた。
ギャンブルなんてものは所詮どうやったって胴元が儲かるようにできている。
ここで満面の笑みを浮かべている大体の人は、金をその胴元に献上しに行く
ようなものなのだ。なにがそんなに楽しいんだろうか?そんな疑問をベテラン
ギャンブラーの平井にたずねてみると。
「それを言っちゃいかんよぉ。みんな帰る時には財布が重くなってることしか
 考えてないんだから」
と、そう言う彼もあからさまにテンションが高い。
他のメンバーを見てみると、満面の笑みってことはなくとも、その表情からは
高揚感を読み取ることができた。
シミは普段からにこやかで、しずんだ表情を見せることがないキャラだから
あまり普段との変化を見つけることができなかったが、一方モッチィはと言えば、
彼も普段から面白おかしい方に転がっていく性格のため、あまり変化は感じ
られない、しかし寝起きの悪い彼にしては、この日は起きていくらもしない
うちに、テンション山の登頂を果たしていたように思う。
そして、もうどの馬に賭けるか決めていた彼は、「やばい、数字が目に入ると
決心が揺らぐ」と言って窓の外に目を向けたり、ロト6の広告から慌てて目を
そらしたりしていた。
 やはりギャンブルってのは、それなりに大きな力を持っているらしい。
普段の午前中の電車の中なんてのは、みんな眠そうにしていて、重い沈黙が
支配しているものだろう。それがこのときばかりは楽しげな雰囲気が
あふれんばかりだった。
しかし、平井が言うには帰りもこんなもんじゃないか、とのことだった。
「いやぁ、あそこであいつがくるとは」とか言いながら、やっぱり笑顔は
しっかり携えていると言うのである。
ギャンブルにはやる者にしかわからない、金を巻き上げられてもわからない、
一種の魔力のようなものを備えているのかもしれない。
 そんな事を思っていると、ついに京都競馬場の最寄の駅までやってきた。
案の定その駅で大半の乗客が下車し、俺達はまるで終電のような雰囲気で先を
急ぐ京阪鉄道を見送った。
駅を出ると、競馬場がどこにあるのかなんてまるでわからない俺でも、
人の波に身を任せるだけで、迷うことなく目的地までたどり着けそうな勢いだ。
さらに車通りの少ない道に入れば、俺達の行く道を示しているかのように、
色々な露店が行き先を示している。たとえば競馬新聞を開いて大声を張り上げる
予想屋だったり、肩にかけたバッグにこれでもかってくらいに競馬ブックを
詰めて売り歩くおばちゃんだったり、果ては競馬でもうけた景気のいい人を
捕まえようと、YAHOO!BB!さえもが待ち受けているありさまだ。
関西圏とは言え商魂たくましいことこの上ない。
 そんな「買わせよう」「あやかろう」と言うオーラを掻き分けて進むと、
やがて京都競馬場が姿をあらわした。入り口付近には赤いビームサーベルを
手にした、警備員が交通整理にいそしんでいる。どこまでいっても人、人、人。
これでミッキーやドナルドでも出てくれば、ディズニーランドの入り口のような
賑わいだ。

 競馬場に入るとまず、イベントホールへと向かうことになった。
いつもは先頭に立つことなどほとんどない平井なのだが、競馬場での彼はまさに
「水を得た魚」状態だった。キョロキョロとあたりを見回す俺やシミにかまわず、
競馬の巨匠は迷うことなくエスカレーターに向かい、案内図にも見向きもせず、
目的のイベントホールまで俺達を先導した。
イベントホールの席はすでに人であふれかえり、吹き抜けとなってステージを
囲むスペースにも何重もの人の輪が出来上がっている。
後から来た我々はステージなんてチラ見することさえかなわず、スクリーンに
映されたゲスト、宝生舞のおでこあたりが、人だかりの向こうに覗く程度だった。
生の芸能人がほんの十数メートルまで来ているとは言え、その間を全て人で
埋め尽くされ、スクリーンに映る姿さえ満足に見えないのでは、さすがにその
空間に価値を見出すことは難しい。我々は早々に興味をそがれると、
昼食にありつくことにして、レストランコーナーへと向かった。
 またしても巨匠が先頭に立って突き進む。迷いなどは一つもなく、
歩くスピードだって普段の2.5倍ぐらいだ。
普段、俺やモッチィは「平井はギアをニュートラルのまま、坂道を下るように
生きている」と言っていたが、ここにかぎってはギアがトップから降りてくる
ことがない。引き返すことがあっても、まず間違いなく鬼バックである。
俺はそんな巨匠に必死でついて歩いていたが、廊下の壁という壁にもたれて
座り込んでいる人が気になった。中には新聞を敷いている人も多く、
まるでホームレスのような、若干のみじめさすら漂っている。
気になって巨匠にうかがってみようとも思うのだが、彼はすべてを振り払う
ようなオーラを纏って、突き進んでいる。昨日の朝纏っていたセピア色のオーラ
など、今の巨匠からはまったく感じられず、巨匠然とした勢いのあるオーラを
撒き散らしている。仕方なく俺はあきらめると黙ってついて行くことにした。
 レストランコーナーに行くと、驚いたことにモスバーガーだの吉野家だの、
有名なファーストフード店がひしめき合っていた。
巨匠が言うには「ここの吉野家は、世間で牛丼が消滅しても、なお牛丼を
売っていた」らしい。
そんな四方の壁という壁をファーストフード店に囲まれたそこにはしかし、
カウンター風のテーブルが並ぶばかりで、一脚として椅子が存在しない。
立ち食いそばならぬ立ち食いファーストフードなのである。
俺はそれを見て、ようやくさっきの壁際に座り込んだ人たちに合点がいった。
ここにはベンチだの椅子だのと言うものがほとんど存在しないのである。
菊花賞という大きなレースが行われるため、大量の客足を懸念してのことなのか、
それともいつもそうなのかはわからないが、休みたかったら床に座り込むしか
ないようなのである。
しかたなく我々はファーストフードは諦め、そのコーナーを取り巻くように
点在する、中華料理屋やそば屋で昼食をとることにした。
 店に入ると迷う間も与えられないような勢いで注文を問われ、
お金と引き換えに食券が手渡される。厨房前のカウンターにそれを差し出すと、
待たされることなくトレイにのったラーメンを渡され、空いているテーブルを
探した。しかしテーブルは大きな丸テーブルが4~5卓のみで、その全てが
相席になっているらしい。ちょうど4人分のスペースを見つけると、
あわただしい雰囲気の中割り箸を割った。
店の角にはテレビが設置されているが、流れているのは当然競馬のみ。
たった今終わったレースの結果や、遠く離れた東京競馬場の結果などを次々と
流している。映像が切り替わるたびに周りからは「うわぁ~」「あぁ~」
「くぉらぁ~!」などと言う野次が巻き起こる。
そんな様子を見ながら箸を進めていた俺だったが、いち早く食事を終えた巨匠は
「馬券買って来る」と言って、返事を待つこともなくさっさと店を後にした。
やがて食べるのがもともと遅い俺は、食事の終わった皆を見送って、
のんびりと食事を続けることにした。

 俺も食事を終えると、投票所で馬券を買ってみることにした。
投票所はというと、廊下やレストランコーナーとは比べ物にならないほどの
人ごみだった。その人ごみをかきわけて進むと、投票用紙の記入にいそしむ
モッチィと巨匠を発見して、俺もそれに習うことにする。
とは言っても何の知識もない俺は、投票用紙のマークの仕方もさっぱりで、
巨匠に教えをこうが、「ボックス」だの「ワイド」だのという単語が飛び出し、
いまいちよくわからない。しかたなく今度はモッチィに聞くと、「馬単」と
「馬連」がわかればいいら言うて、それぞれの説明と投票用紙のマークの仕方を
教えてもらった。
ちなみに「馬単」は1着、2着をそれぞれ当て、「馬連」は1着、2着に来る
馬を順位にかかわらず当てるというものらしい。
マークを済ませて、投票用の機械で馬券を買おうと思うが、今度はその機械が
わからない。ちょうど馬券の購入を終え、さらなる馬券の選定に向かおうとする
巨匠をつかまえ、操作の仕方を教えてもらい、俺もようやく初の馬券を購入した
のであった。
 俺が必死で馬券を購入している間に、早くも巨匠はレースを見に姿を消し、
モッチィともはぐれてしまった。競馬場に来たからと言って、特にギャンブルに
興味がわくわけでもなく、俺はせっかくだからと思い、パドックに行って馬を
眺めることにした。
壁の案内板で場所を確認すると、パドック会場へ向かいおもてに出た。
しかし外に出てもなお、ものすごい人の数で、芝生にはピクニックシートを
広げ、植え込みの淵でさえ腰をおろした人の人だかり、パドックを囲む段も
もちろん、どこもかしこも人にあふれ、「こんなにも競馬ファンってのは
多いのか」と、驚くばかりだった。
しかも、子ども連れやカップルが多いのにも驚かされる。ベビーカーを押して
歩くギャルっぽいお母さんの2人組や、壁際にもたれながら座って新聞を敷き
彼氏に膝枕をするカップル、なかには若い女の子の2人組なんてのもいた。
それまでの俺は競馬新聞に赤鉛筆、無精髭ってなドロドロの競馬親父ばっかり
だと思っていたのだが、時代が変わったのか、俺のイメージが貧困だったのか、
実際のところはイメージとはかけ離れたものだった。
ただ俺にも言えることがあるとしたら、実際は若い人が多かったとは言え、
行動そのものはイメージしていた競馬親父とあまり変わらなかったってこと
だろうか。それが逆にさらなるショックを与えたわけなのだが…。

 そんなふうに人間観察をしながら、どんだけの時間を過ごしただろうか?
あと1時間もすればメインレースというところでシミに声をかけられ、
そこからは彼と行動を共にした。馬券を買ってからもかなりの時間がたっている。
それもあって、馬券を買うシミにつられて、俺ももう少し馬券を買い足してみる
ことにした。その後競馬場の観客席に向かうと、芝生席にかろうじてスペースを
見つけると、そこに腰を下ろして初めてのレース観戦。
遠くコースの反対側のゲートからいっせいに馬がスタートする。
かなりの距離があり馬は豆の様に小さく見えるのだが、コーナーを曲がり直線の
コースに入り、見る見るうちに馬が近づいてくると、地響きのような蹄の音を
轟かせて、あっという間に正面を通り過ぎていく。
そして地響きをかき消すような野次に客席を振り返ると、立ち上がって声援を
とばす熱いオーラが俺を呑みこんだ。
時間にして1~2分だろうか。あっという間にレースは終わった。
観客達は席を立って次のレースの馬券を買いに行く。
俺はただ圧倒されるばかりだ。その熱気に、気迫に、すさまじい野次と地響きに。
それでも俺の胸に熱いものが込み上げてくることはなく、冷めた目でその光景を
捉えているのであった。今のほんの1~2分に、俺なんかが想像もつかない
ような大きな金が動いているのである。
 放心していると、コースの中に設置された電光掲示板と並んだスクリーンから、
次々と馬の紹介VTRが流される。いよいよ次はメインレース、そこに出馬する
馬たちの紹介が始まったのである。まだ馬も姿を見せていないと言うのに、
VTRに向けられる声援の熱意はすさまじいものがある。

 やがて客席は手拍子に埋め尽くされ、レースの時間が刻一刻と近づく。
ついにファンファーレが響き、地を揺るがすような歓声が巻き起こる。
いよいよメインレース「菊花賞」のスタートである。馬が走り出すと膨れ
あがっていたオーラは一気に爆発を起こす。さっきのレースでさえ驚かされたの
だが、やはりメインレース、さらにその勢いを増して、嵐さながらの熱狂ぶりだ。
そんな観客を俺は振り仰いで眺めていた。その勢いに圧倒されていた。
気がつくと歓声とは別の響きが耳に近づいてくる。前に向き直ると、レースは
すでに最後の直線に差さしかかっていた。
果てがないかのように歓声がどこまでも強くなっていく。
この数分間のために、これだけたくさんの人たちが、ここに集っているのだ。

 レースが終わると、今日一番の人の波が俺とシミを呑みこんだ。
確かレースはまだ1つ残っているはずだったし、巨匠とモッチィは間違いなく
最後まで見届けていくだろう。それでも俺達は人並みに逆らうことを諦め、
彼らのことは駅で待つことにして、競馬場を後にした。
どうせこの人の波では、お互いを見つけることも、電車に乗り込むことも
不可能なのだから。

 駅に着いて数本の電車を見送ると、モッチィに電話をかけてみることにした。
するとやはりまだ競馬場で、ちょうどこれから最終レースが始まるのだと言う。
俺とシミは駅で待っていることを伝えると、そのまま何本かの電車を見送りつつ、
絶えることのない競馬場からの人波を眺めて待っていた。
しばらくすると二人が現れる、どこか燃え尽きたような、疲れた表情だったが
それは俺も対して変わりはしないだろう。しかし、それでも平井に聞いていた
とおり、帰りゆく人たちの顔も疲れては見えたが、暗い顔をして家路に着く
人たちはほとんど見当たらなかった。
戦果のほどを聞くと、なんとモッチィはメインレースで単勝を当てたらしく、
2000円が90000円になったと言う。なるほどその手には、
お土産に競馬場の入り口で売られていたワインが、携えられていた。
平井の方は60000円ほどかけた挙句に、かろうじて最後にプラスに引き戻し、
トータルで6000円プラスになったとのことだった。
前日から平井には多額の資金を投入することを聞いていたが、60000円と
いう投入額にはびっくりだった。しかも話を聞いていくと、二人とも勝つまでは
帰りの電車賃さえもない状態だったと言うから、驚きをこえて呆れてしまう。
さすがに大学時代家賃を賭けてまでパチンコやスロットをしていただけのことは
あると言うものだ。平井にいたっては、こんな伝説も残っている。

 それは数年前のやはり菊花賞のときのこと。その頃から平井は一人競馬場まで
足を運び、今回の様に多額の投資の末、その年はその全てを胴元に巻き上げられ、
帰りの電車賃をも守りきることができなかった。
そこで平井は高校の友達(筒井)のうちまで行き、金を借りると、
やおらその金をパチンコにつぎ込んだのである。
まっとうな人間から見れば「なんで?」言う行動だが、彼は迷いがあったのか
なかったのか、そうした暴挙にでたのである。
結果パチンコで勝利を収めた彼は、ゆうゆうと新幹線で袋井まで帰ってきたと
言う。もしそこで負けていたら、借金を作った上で、京都でなにかしらの稼ぎを
得るまでは帰ってくることすらできなかったのだ。
こんな彼を巨匠と呼ばずしてなんと呼ぶかって話だ。
これで少しは彼の駄目仙人っぷりもわかってもらえるだろうか。

 その後我々は夕食を食べて京都駅に向かうことにした。
その途中地下鉄や繁華街で、モッチィと同じように競馬場のお土産袋を
下げている人を、ちらほらと見かけることがあったが、おそらく彼らは勝組で、
見た目では判断はできないが、負組の人たちもかなりの数が回りにはいたのだと
思う。
 そしてこの日は古いお好み焼き屋に入ると、勝組モッチィにおごってもらって
腹を満たし、家路へとついたのである。
帰りの電車で平井に今日の感想を聞くと、「負けなくてよかったよぉ」
言いながらも「次こそは!」と息巻いていた。俺が笑うと彼はこんな風に続けた。
負けると悪魔が『今度は勝てる』って言って誘い、勝つと『またおいで』と
天使が手を振るのだと。そんな彼にこの曲を贈ろう。

 『トウキョウシティー ヒエラルキー』
トウキョウシティーヒエラルキー 賭け続けるのが彼らのルール
道のひとつは明日へと続き もう一つは墓場へと落ちていくレール
でもこの瞬間が好き この興奮が好き 高鳴る心臓の鼓動が好き
ポケットの中で汗ばんだ手を握り締め
きっと今度こそはと 不運な天使は空に囁きかける

 

 …どうでしたでしょうか?「そうだ、京都へ行こう!3~競馬編~」
京都旅行記ものこすところあとひとつ、「年越編」を残すのみになりました。
もう3年ぐらい前の話で、あれ以来京都には足を運ぶ機会がないままである。
あのへんの飲み屋とかって独特の雰囲気があって、また行きたいって
常々思ってるんだけどね。たぬきごはんもまた食べたいし、平松はもう居ないに
しても、いろはかるたの梅干とおばんざいも美味しかったし。
付き合ってくれる人がいたら2人旅でも充分に楽しいと思うんだけどな。
さすがに旅に独りで出かけようって言うのは、寂しいしもったいない気が
するから、やろうと思わないけど。

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そうだ、京都へ行こう!3~競馬編~(前編)

※「そうだ、 京都へ行こう!1~美食編~
 「そうだ、 京都へ行こう!2~観光編~(前編)
 「そうだ、 京都へ行こう!2~観光編~(後編)
 を読んでいただくと、さらにお楽しみいただけます。

 

 この日俺が目を覚ましたのは早朝の6時半だった。
「そうだ、京都へ行こう!」の旅の第3弾である。
今回の旅は珍しく電車の旅が企画されていた。
それは今回の旅の目的が競馬だったからである。
この日は競馬にうとい俺でも知っている「菊花賞」というGⅠレースの日。
その有名なレースに「人生の7割がギャンブルでできている」と言われる平井が、
手を出さないわけがない。しかも奴は毎年このレースは京都競馬場に足を運んで、
観戦しているのである。
だから今回の旅は、俺達が平井の旅に便乗したという感じなのだ。
その平井が「この日は車じゃ身動き取れなくなる」と言っていたため、
もともと電車での旅も実践してみたいと思っていた我々は、
早朝から、電車での旅をスタートさせたのである。
 結果から言えばこの電車の旅、俺の予想以上に疲れるものだった。
まず移動時間について言えば、車で高速なら3時間ちょっとなのだが、
電車でこれに相当するものは新幹線しかないのである。
「ひかり」を使えば2時間という短時間ですむのだが、例えば帰りに「ひかり」を
使うとなると、こいつは浜松には止まるものの、豊橋は止まらない。
そうなるとモッチィや平井は、必然的に手前の駅で降りて「こだま」に
乗り換えることになるのである。
そうなると、せっかく「ひかり」に乗ったところで、乗り換えのための
待ち時間を消費して、結局は「こだま」に乗って帰ってくるのと同じになって
しまうのだ。
一方普通の鈍行では4~5時間という長丁場を強いられる。
 さらに問題になってくるのは交通料金だ。
車なら高速代やガス代は割り勘にできるため、往復で一人あたり7000円強で
すむのに対し、電車では鈍行で往復7000円強、新幹線にいたっては片道で
7500円を越えてしまう。
 そうは言っても電車の旅にメリットがまったくないわけではない。
誰が運転するのかって言えば、そりゃ乗務員のおっちゃんがするに決まっている。
ようはみんなでだらだらと話しながら旅ができるのである。
 ……と、当然の様に思っていたのだが、実際のところはそうでもなかった。
電車に乗ったからといって座れるとは限らないし、待時間や歩きでの移動に疲れ、
電車に乗ったとたん睡魔が襲ってきたり、だらだらしすぎて会話もだれてしまう
のである。実際に今回の旅の移動中でもっとも話が弾んでいたのは、
駅のホームでの待ち時間だけだったんじゃないだろうか?
まぁ、そんなこんなで京都に限っては、車での旅の圧勝と言う感じに軍配が
上がったのだった。

 さて、前置きが長くなったが、旅の経過を綴っていくとしよう。
まず、この日の朝。8時半豊橋駅を出発する方向で集合を目指したため、
俺と今回初参加のシミは6時半には起きて、浜松駅で待合せをすることになった。
シミとは俺の高校のときのツレである。
しかし、電車やバスがそう都合よくあるわけではない。縛られたダイヤに従い、
俺とシミが豊橋駅に着いたのは8時半ちょうどだった。
改札を出ると、すでにモッチィが待っており、俺は姿の見えない平井を探すと、
奴はまだ来ていないようだった。
まぁ、予想の範疇ではあったが、俺が家を出た朝7時頃に俺に電話をかけて
きた奴は、「この時間の渥美線に乗ってけば間に合う」などと言っていただけに、
呆れるばかりだったのだが、そこで電話した内容がそれにさらなる拍車をかけた。

麻生:おい、今(8:40)どこにいるだ?
平井:渥美線の改札出たとこ、どこにいるよ?
麻生:8時半出発の方向だって言ったろ。
   間に合うように出てくるようなこと言うてたじゃんか。
平井:8時半に出発できたぜ。
麻生:はぁ??もう8時半なんかとっくに過ぎてんぞ、何を言うてるだ?

こんな具合で、言い訳なんだか何なんだかさっぱりと要領を得ず、
こっちは唖然とするばかりだった。
 そんなこんなでようやくセピア色のオーラを放つ平井と合流を果たし、
とりあえず名古屋までの乗車券を購入すると、まず飯にありつくことにした。
なんせ俺達の旅なのだ、昼飯が昼に食べれる保証など存在しない。
早くたって、いいとこ15時過ぎだろう。そんなわけで電車を待ちつつ俺達は
駅の立ち食いそばやで朝食を取ったのである。

 そしてまず乗り込んだ電車はJRの名古屋行き。
さっそくその電車では座席を確保することができず、立ちっぱなしで45分
名古屋に向かうこととなった。
 名古屋駅に着くと俺達は改札を出て、ここからどうやって京都に向かうのかを
相談しようと思ったのだが、さすがに名古屋。一緒に電車を降りた人の数が
半端なく、ひとまず人の波を避けて作戦を練ることにした。
しかし、人の波を抜け出し「さあ、作戦会議だ」ってとこでまたしても平井が
見当たらない。階段の上から落ち着きつつあった人の波を見下ろしたところで、
普通の人とは比べ物にならないほど少量のオーラ(しかもそれすらもセピア色の
オーラ)しか放つことのない平井を見つけることは不可能であった。
それならばと俺達は駅員さんを捕まえて、館内放送を流してもらうことにした。
本来ならば文明の利器を駆使して、携帯に電話すればいいのだが、極力面白い
選択肢を選ぼうとするのが我々だったからである。
しかし駅員さんに放送を頼むと、
「名鉄や近鉄の方に行ってるのかもしれないから、そっちを探してからだ」
と言う返答が返ってきた。
他の路線の方に行ってたとしたら、放送しても意味無いだろうと言うのである。
仕方なく我々は近鉄の方を探してみることにしたのだが、そこへ向かう途中で
平井の方から文明の利器を行使され、面白みもなく合流する事になったのだった。
 合流した平井に対して我々は、惜しみない落胆の色を表現したが、これ以上の
停滞を避けたかった俺達は、近鉄の急行を使って京都に向かうことにした。
この時点での時間は10時半ぐらい、モッチィがトイレ休憩を発案したため、
俺とシミは一旦駅を出ていっぷくすることにした。
いっぷくを終えて切符売り場に戻ると、しばらくして浮かない顔のモッチィが
戻ってきた。なんでもティッシュが1個40円だったのだが、財布に30円しか
なく退散してきたらしいのである。
いつもならそれなりの荷物を持参してくるモッチィが、今回は手ぶらで
来ていたのが裏目に出たようだ。
たぶん今回は1泊しかしないうえに、電車での移動だったからだろう。
そんな彼に平井は、ニヤリと笑いかけると、
「そんな小銭あさらんでも、ティッシュぐらい持ってるぜ」
とかばんから街頭でもらったポケットティッシュの束をちらつかせた。
モッチィはそれを手に、戦場へと舞い戻っていったのだが、残った俺達は
珍しく持参された平井のかばんに興味をそそられた。
いつもは何の荷物も持たず、そのまま3泊の新潟旅行すら乗り越えるような、
奴の荷物。いったいどんなものを持ってきたのか、興味をもって当然だろう。
 さぁ、それでは彼のかばんの中身を順々に公開していこう。
まずはさっきも話題に出たポケットティッシュ。
怪しげなピンクい広告のティッシュから、生命保険かなんかのものまで
様々なものではあるが、一様に街頭で配られている広告のポケットティッシュだ。
彼とは何度も一緒に旅しているし、街をぶらついたこともあるが、
目に映ったほとんどのティッシュは、俺にも見覚えがあるもので、
数々の収穫の集大成的な数のそれであった。
 次に目に映ったのは小さめのハンドタオルが1枚。
これについては特にコメントするようなこともないのだが、驚くべきことに
彼のかばんの中身は、以上の物だけだったのである。
シャツも靴下も無ければ、パンツも無いのだ。
彼と旅に出るのはこれで6回目ぐらいになるが、これにはさすがに多少の驚きを
禁じえなかった。おかしな話ではあるが、むしろ手ぶらのときよりもその驚きは
大きかったんじゃないだろうか。
ハンドタオルとポケティのみ…手ぶらでも持ってこれる荷物だろう。

 そんな一幕を経て近鉄の急行に乗り込むと、乗り換えの伊勢中川駅を目指した。
今回は名古屋発の電車だっただけに空席は有り余っていたが、BOX席は
シルバーシートしかなく、空席が多いことを理由に、後ろめたさを感じつつも
シルバーシートを陣取った。
初めて座って移動する事ができ、しかも向かい合ったBOXシートだというのに、
急行に乗っていた1時間ほどの時間ですら、睡魔に打ち勝つことができず、
気がつけば乗り換えの駅が間近に迫っていた。
伊勢中川のアナウンスが流れ、乗り換えの説明が始まっても、我々の寝ぼけた
頭では右も左も理解することができなかった。そうしているうちに近鉄急行は
見る見るうちにスピードを落とし、両側のドアが開いた。
我々は手近なドアから外に出ると、乗り換える急行の時間を確認する。
「11:21」
続けて携帯で現時時刻を確認。
「11:20」!!!
あと1分だ。慌てた頭で何番線かを確認するが、ここが何番線かも理解できない。
ようやく現在地を見出したが、電車を挟んで反対側だった。どうやら降りる時に
反対のドアから降りてしまったらしい。まだ乗ってきた急行は両側のドアを
開いたまま停車しているが、もう誰も乗っていない上に、乗務員が忘れ物か
なんかの見回りをしている。
そんな一瞬の躊躇の後、無情にもその突破口は硬く閉ざされてしまったのだった。
 仕方なく俺達は2回目のトイレ休憩を余儀なくされ、売店でスナック菓子を
購入すると、ベンチに座って次の急行を待つことにした。
しかし次の急行はまだ30分以上待たなければならない。
 そこのトークで爆笑を誘ったのはモッチィの物まねだろう。
アントニオ猪木の物まねと言うスタンダードなネタだったのだが、
セリフは…「ハンバーガー、ピクルス抜きで!」というマックのオーダーシーン。
空腹の限界を迎え、スナック菓子しか食べれないという極限状況の生み出した
産物だろう。プロレスネタと政治ネタを好物としている平井は、そうとうな
爆笑っぷりで、「モッチィ、猪木の物まねの中では、それが一番似てるよ」
と大絶賛していたが、当のモッチィには「おまえは猪木がハンバーガー
ピクルス抜きで頼んでるとこ見たことあるような言いっぷりだな」と
それすらも斬って笑いを誘うのであった。
 そんな話をしながらも、時間は差し迫ってきている。
ここから京都にはまだ3時間はかかるうえに、まだ乗換えが必要だから、
さらに到着時間は遅れてしまうだろう。このときすでに12時を過ぎていた。
このままではせっかく京都に着いても、すでに夕方になってしまっている。
まだ宿の確保すらできていないと言うのに、だ。
仕方なく俺達は特急券を買うと、10分後に来る特急で京都に向かうことにした。
これなら移動時間は2時間ほどですむし、乗り換えもない。
 やがて特急に乗り込むと、自分達の席を探した。今回は指定席である。
席に着くと今回は比較的のんびりすることができた。ほっとけば勝手に京都まで
行ってくれるから、寝てようが何してようが何の心配も無い。
しかし、こうなると逆に眠らないから不思議である。
我々はシートをBOXにすると、山間の景色を眺めながら、危険極まりない細い
橋を疾走する軽ットラに仰天したりしながら、京都へと向かった。

 京都駅に着いてホームに降り立つと、特急券を捨てるごみ箱が目に入ってきた。
はて?車内での検札もなかったし、俺なんかは券を買って以来ポケットから
出してもいない。全席指定になってるのかもしれないが、下手すれば無賃乗車が
できるんじゃないか。しかも、ばれない可能性の方が間違いなく高そうである。
 まぁ、そんな近鉄の経営状況などはほっといて、京都駅。
まずは今夜の宿を確保しなければならない。
すでに15時を過ぎてしまっているのだ。
我々はコンビニを見つけると、旅行雑誌の置かれているコーナーで、
京都の旅行雑誌を手にすると、今夜の宿を探し始めた。
いつもの旅ならオデッセイにその類の雑誌が常備されているのだが、
今回は電車だったために現地に着くまで宿を取る手段がなかったのである。
しばらく立ち読みをして宿の候補を上げたのだが、結局候補に上がったのは2件
のみ。宿の情報が載ってる雑誌が少なかった上に、高い宿ばかり載ってたからだ。
それぞれの宿に電話をしてみるが、1件はすでに予約でいっぱいだったため、
必然的に我々の宿は「平新」という残り1件の旅館に泊まることとなった。

 そこから我々が向かった先は四条烏丸。
すでに我々の庭となりつつある四条河原町のすぐそばである。
理由ももうお馴染みだが、宿も夜遊びの果てに無事帰宅できるようにと、
河原町や木屋町から近い四条烏丸周辺に絞ってピックアップしていたのだ。
 それはさておき、四条烏丸につくとまず遅めの昼飯を食べることにした。
朝飯の時に予想したとおり、やはり15時を大きく回り時刻は16時になろうと
していた。
もともと今回の旅は競馬目的だったのだが、実はもうひとつ楽しみにしている
ことがあった。それは前回の「観光編」で行った居酒屋「いろはかるた」で
酒を飲むことだ。その理由の詳しくは「観光編」 を読んでもらうとして、
まぁ簡単に言えばいい店なのに加えて、店員もいいキャラだったからである。
「美食編」で行った「和民」なんか、腹話汁とやたら五月蝿かったことしか
憶えていないからな。
そんなわけで夜は「いろはかるた」に行くことを前提に、昼飯はかるくすませる
つもりでいたのだが、これといっていい店が見つからない。
モッチィなんかはマクドナルドでもいいと言い出すしまつだ。
来る途中の駅で平井と話していた、モッチィが格闘技のものまねでマックの
店員を笑わせたら平井のおごり、できなかったらモッチィのおごりなんていう
話をしていたからだろう。
そうは言ってもさすがに京都でマックってのも気が引ける。
そんな俺達が結局入った店は松屋。大差はないかもしれないが、時間と空腹に
耐え切れなかった俺達は、看板を見つけ「もうここでいいら」と満場一致しての
入店だった。京都に来てるからといって特別な店に入ろうなんて気持ちが、
もう俺達の中にはなかったのかもしれない。まぁ、2月の間に3回も訪れている
のだから、なじんでしまってもおかしくはないのだろう。
 遅めの昼食に久しぶりの牛丼を食べると、宿を探すことにした。
駅から徒歩5分ぐらいという事だったので、とりあえず駅からの道を確認すると、
この日の宿「平新」に向けて歩き出した。
しかしこの「平新」の読み方が微妙なため、適当に場所を聞くのもままならない。
「へいしん」かもしれないし「ひらしん」かもしれないし、
もしかしたら「ぴょんしん」の可能性だって0とは言い切れない。
しかたなく平新に電話で場所を聞くと、相変わらず要領を得ない
京都人の道案内を頼りに、平新に向かうことになった。
 宿は烏丸通りから細い一通を入っていった路地裏的なところにあった。
…が、浜松なんかで言う路地裏と京都のそれもまた違っている。
車1台しか通れないような一通だってのに、コンビだってあるし、
車があまり通らないぶん人通りもある。
平新の向かいなんかは、ほとんど遊具もないけれど、広くてのんびりした
公園があり、それはそれはのどかな立地条件である。
ロビーで待たされていた間も、ソファーに座って煙草をふかしつつ、
公園や通りゆく人を見ているとそれだけで穏やかな気分になってくるのだ。
しかし、裏路地のひっそりした所にあるにもかかわらず、
けっこう利用者は多いらしく、入り口のところの来客者を連ねた看板には、
ジャトコを始めとする名前が3~4件書かれていた。
単なる週末だと言うのに、この按配ってのはなかなかのものではないだろうか。
 受付を済ませて部屋に入ると、一泊1万円もいかない宿とは思えないような
雰囲気だった。
我々が泊まったのは和室の4人部屋。しかし広さ的に言ったら、
もう2人ぐらいは寝泊りできるぐらいの広さがあるんじゃないだろうか。
荷物を降ろした平井とモッチィは早くも明日の勝負に向けて、窓辺を占拠して
作戦会議に余念がない。シミも壁にもたれかかってかばんの中身を確認しつつ、
作戦会議に口を挟んで盛り上がっている。
俺はと言えば、ギャンブルの「ギャ」の字も知らないため、作戦会議に口を
挟むこともできなければ、言ってる内容の意味すらよくわかってないありさまで、
暇を持て余してゴロゴロとしていた。
…が、さすがに競馬の作戦会議がそんなに早く終わるわけもなく、
俺の暇さ加減にも拍車がかかってくると、俺はテーブルの上に用意されていた
茶菓子に手をつけ始めた。京都の旅館の茶菓子って言えば定番の八つ橋だ。
それを目ざとく見つけたのはモッチィだった。
「ぉぃおい、いいもん食べてるじゃないかぁ」
と、作戦会議を中断してモッチィと平井もテーブルの茶菓子にありつく。
それでもまだ彼らの頭から競馬は消えてないようで、作戦とは言えないものの、
思いつく数字を並べてみたり、日付に絡ませた馬を新聞で見たりとしていた。
そんな平井が目をつけたのは、たった今ほうばったばかりの八つ橋の袋だった。
「夕子」という商品名の八つ橋で、パッケージも真ん中に赤い大きい字で
「夕子」と書かれている。その脇に「京都名物八つ橋」と小さく入っている。
それに目をとめた平井は、
「八つパチ、八つパチってことは「8」かぁ…」とつぶやく。
「……」
一瞬の間が空き、俺とモッチィは爆笑してしまった。
「八つ橋」その時点で連想される数字はもちろん「8」に他ならない。
それなのに奴は八つ橋の「橋」の方まで「パチ」言うて「8」に絡ませて
きたのである。もう平井の頭の中は8割がた競馬のことしかなく、
身の回りに転がってる数字をことごとく拾い集めようとしていることが、
馬鹿馬鹿しいくらいに伝わってきて、笑いをこらえることができなかったのだ。

 そんなやり取りをしている間に時間は18時ごろになっていた。
我々は「そろそろ繰り出すか」と部屋を後にして、河原町方面へと足を運んだ。
もともと方向感覚の強い俺が、先頭に立ってモッチィと並んで歩き、
その後ろを平井とシミが話しながらついてきていた。
実のところシミと俺は、今までそんなに親しい友達ではなかった。
俺と同じ高校出身で、3年の時に同じクラスになったぐらいで、
話こそちょくちょくしてはいたものの、一緒に遊んだりすることはほとんど
無かったように思う。
大学に入りシミは浜松を離れていったため、それ以降会うこともほとんど
なかったのだが、サトツ氏からは間接的にはよく話を聞いていた。
そのせいなのだろうか、今年の夏久々に会って遊んだ時には何の違和感も無く、
ほとんど面識の無いモッチィも交えて海に行ったり、飲みに行ったりもする
ようになった。
そんないきさつがあって、今回の京都旅行に誘ったのだが、まさか彼が
こんなにもギャンブラーだったとは思わなかった。
さっきもちょっと話題が出てきたが、平井の生き様は7割以上がギャンブルで
占められている。残りの3割はモッチィ曰く「シモ」らしい。
そんな平井は初対面の人間と打ち解ける有効な手段は「ギャンブルの話を
することだ」と言う。確かに「Heven' s Drive」で初対面だった
羽山ともんくんとも、パチンコの話で打ち解けていたが、羽山たちがパチンコや
スロットに手を出していることは俺も知っていたから、それはまあわかる。
…が、みんながみんなギャンブルやってるかって言うとどうなのだろう。
確かに俺の友達はみんな何かしらのギャンブルをかじっているが、俺みたいに
縁のない人間だっているはずだ。
とは言え、やっぱり何かしらのギャンブルに手を出している人間ってのは、
割合的にそこそこのものなのだろう。そのうえ平井は大抵のギャンブルに
わたって深い経験と知識をもっている。そんな彼がギャンブルを糸口にして人と
仲良くなるのは、彼にとっては至極当然のことなのかもしれない。
しかし、それでも普通の人から見れば、かなりの与太話である。
羽山やもんくんだって話が盛り上がりだすまでそこそこのアイドリングが
必要だった。それがシミときたらほとんど助走も何もない状態から、
平井の話題に乗っかっていった。
想像してみてほしい、俺達がギャンブルに対して持っている興味をスピードに
たとえると、俺なんかはギャンブルにひた走る人々を眺めている程度だろう。
普通の人をこれに比べると、小走り程度の人からジョギング、中には息を切らせ
ながら走ってる人もいるかもしれない。しかし平井のそれは列車か何かの
スピードなのである。
もともと頭のよかった彼が持つ知識量、そして競馬のために毎年京都まで出向く
思い入れ。世の中に彼のような人物が予想のほか多いことも知っているが、
身近にはまずいないため、俺からはそんなイメージになってしまうのだ。
だから普通の人が平井の話題に乗ってこうと思ったら、相当の助走をつけて
飛び乗る必要がある。だって相手は列車なんだから当然だ。
それに慣れているモッチィだって、たまにタイミングをはずしたりした時は
「何言ってんだこいつ?」と呆れるほどなのだ。その列車にシミはほとんど
助走もつけず乗っかっちゃったのである。
平井に比べたら、いや俺やモッチィと比べたってよっぽどまっとうなシミが、だ。
世界的に有名な会社に勤める彼が、暴走列車平井にすんなり飛び乗っちゃったの
である。人間ってのはわからないものだね。

 そんな平井と肩を並べながら河原町へ向かっていたシミ。
美食編」 の時には金閣寺でおみくじひいただけで、
「『金運よし』よぉ~し、いいよぉ~。これはLoto6当たる。
 1億当たったらどうしよう」
ってな具合だった平井は、今回もそんな話を持ち出していたらしい。
しかも今回は初対面のシミまで巻き込んでの大暴走だ。
おそらくシミの中にも平井と似たようなギャンブラーの血が流れているのだろう。
しかし彼には、その火薬に火をつけるための火種がほとんどない。
それが平井と言う火種をもとに、火薬庫までいっきに燃え上がったようである。
 宝くじ屋の前を通り過ぎたあたりから、予想通りそれは始まった。
始めは「またか」なんて感じで聞き流していたのだが、今回はシミを交えた事で
話の発展のしかたが急激なうえに、笑っちゃうようなリアルを含んでいた。
4億当てたらとか言う話から、年金がどうのと言う話にまで発展していのだ。
それだって単なる年金問題なんかじゃないよ、4億当てたうえで暮らしてった
末の年金の話だ。「4億当てたら」なんてのはすでに消えうせて、当たった事を
前提で年金の話にまで行っちゃうのである。
「絵に描いた餅を食う」なんて言葉があるけど、平井はさらにその上をいく。
奴は絵を描く絵の具すら持っていないのに、キャンバスを広げて妄想で餅の絵を
描くと、それをどう料理しようか本気で考えだすのである。
その辺の話を聞きかかじり、モッチィと苦笑を交えていたが、そこまでの話を
ちゃんと聞いていなかったことが、そのときはさすがに少し惜しく感じるほどの
盛り上がり具合だった。

 そんなんしながらすでに歩きなれた河原町に入ると、目当てのいろはかるたの
前には、なにやら人だかりができていた。「なんだそんなに混んでるのか?」と
思いつつ入ってみると、その人だかりは団体で押しかけて来た集団らしく、
俺たちはすんなりと入ることができた。
ほどなくして2階の席に通されると前夜祭が始まった。
 酒の席での定番の話題といったら、やはり女がらみの話だろう。
しかしシミは付き合いが浅いし、俺やモッチィは普段からとくに隠してもいない、
平井はめったにそう言う話をしたがらない。
そんな感じで俺達が飲んでるときの話題と言えば、その店のきれいな店員さんの
話だったり、その店員さんに話し掛けたりといった具合になるのだが、
今回目当てだった店員さんの平松はどうやら休みらしい。
他の店員さんにちらっと聞いてみて確認したことだから、本当に休みなのだろう。
出端をくじかれた感にさいなまれ、俺達の話の矛先は、普段話さない平井へと
向かっていった。いつも女がらみの話になるとき、俺やヨッシーが隠さず話して、
モッチィがそれを聞いてお互いに考えを言う。そして平井はそれをいつも眺めて
いて、意見も言わなければ感想も言わない。それでも平井がいると不思議と話が
転がりやすくなるという、独特の存在である。
しかし俺やモッチィの中に平井に対する心配ってのは、少なからず存在している。
生活自体もフリーター(当時)でギャンブラー(現在進行形)で、
安定感がまるでないから、心配し出したらきりがないのだが、そのへんは
死にかけでもしたら、他人に寄生するなりなんなりして、どうにかするだろう。
この旅の直前にもガソリン代がなく困った平井は、いらないゲーム(質草)を
売っぱらって当座をしのいだらしい。ただ、ここで奴らしいのは、予想以上に
ソフトが高く売れ、1万円近い金が入ったため、その6割をパチンコで浪費して
しまうとこだ。
 しかし女関係の話は別だ。大学時代に比べれば、それでもそう言う話にのって
くるが、茶々をいれてるだけで本心までは出してこない。
深く付き合えばあいつのいいところも見えてくるが、自分からそれを出そうと
しない平井のそれに、女の子が気づくのはかなりの至難だろう。
そんなわけで俺達は話を平井に向けて放ちはじめた。始めはいつもの様に
相づち程度の返答しか返ってこなかったのだが、ふとした瞬間に平井のことを
「N・H」くんと表現し始めると、おかしいぐらいに平井は返答を始めた。
具体的には…
「俺の友達にN・Hくんってのがいてさぁ。あくまでN・Hくんだよ、
 平井じゃないでね。そいつずっと彼女もいないでコンビニバイトしかしてない
 だけど、彼女とかつくる気ないのかねぇ。平井そのへんN・Hくんがなんか
 言ってるの聞いたことあるけ?」
「うぅ~ん、なんか彼女いらないわけじゃないって言ってたぜ」
と、こんな感じである。
ただ単に名前をふせただけだってのに、この豹変ぶりに俺達は爆笑してしまった。
この日はこの問答だけで2時間は飲んでいたんじゃないだろうか。
 店に出る頃には平井、モッチィの二人はかなり上機嫌な千鳥足だった。
河原町の飲み屋街を歩きつつ「このまま帰るのはもったいない」「女の子のいる
店に行こう」「ラーメン食べて帰りたい」などと言いながらも、へたれな我々は
まっすぐ宿に向かっていた。
しかしこのとき、先頭をきって歩いていたのは千鳥足の二人組。
しかもこの二人、もともと酔っていなくてもかなりな方向音痴だ。
俺とシミは「このまま奴らに先導させたらどこまで行くかな」と、
おとなしく二人に付いて行ってみることにした。
 河原町の飲み屋街からぬけると、四条通りに沿って西に折れ、
そのまままっすぐ歩いていく。
途中ここを曲がれば宿まで一直線という交差点に出くわしたが、
彼らはそんなことには気づきもせず、楽しそうに話しながら、ずんずん西へと
向かって行った。
やがて烏丸通りにぶつかると、彼らは後ろを歩いていた俺とシミを振り返った。
そのときの不安そうな顔を見て、思わず吹き出しそうになってしまうが、
表情には出さず「どうした?」と二人に問い掛けた。
すると「宿ってこっちだったよねぇ」と、北の方を指して言う。
俺はつとめて真顔で「おぉ」と何気なくうなずいて、彼らが再び歩き出すのを
促した。二人が前に向き直り、再び歩き出すと、俺とシミは顔を見合わせて
笑みをこぼす。別に道が間違っていると言うわけではない、遠回りはしているが、
なんとなくの位置はちゃんと把握しているらしい。
それでもはっきりした道もわからず、不安にかられて聞いてきたわりには、
それでも先頭を歩いて行く酔っ払いぶりがおかしかったのである。
 やがて彼らはそれらしい一通を見つけると東に曲がって歩いていく。
俺達もそのあとに続きつつ、宿へ向かう一通とは微妙に違う雰囲気を感じ始めた。
やがてそれがはっきりしたのは、建設途中のコンビニに出くわしたときだった。
「あれ?昼はこんなのなかったら?道違うくないか?」
モッチィがそう言って俺達を振り返り、平井も「あれぇ?」を繰り返している。
「まぁまぁ、だいたいあってるら、とりあえずもうちょっと行くか」
そんなこんなでそのまままっすぐ行くと、「一風堂」という小さな看板が
目に入った。俺やモッチィやコッシーが大学の頃「うまい、うまい」言うてよく
食べていたカップラーメンのもとになったラーメン屋である。
その場所は我々の宿のほんの一本南の道を少し入った所だった。
入ってきた一通が、実は宿へと続く道の一本手前だったのである。
近道をしていたらその看板には絶対に気づかなかっただろう。それだけその
看板は小さかったし、ずいぶんと高い位置にあった。
そのため間違えて入った一通からでないと、ほとんど見えなかったのだ。
「いろはかるた」を出たとき「ラーメンが食べたい」言うていたが、
宿からいろはに向かう途中ラーメン屋を見かけなかったことから、
「しょうがないでコンビニのカップラーメンで我慢するか」なんて言っていたら、
こんな宿のすぐ近くに、しかも一度本物を食べてみたいと思っていた
「一風堂」を見つけたことに、俺とモッチィは興奮を禁じえなかった。

 店に入るとテーブル席は2~3卓だけで、その奥は細長い厨房に沿って
カウンター席が並んでいた。そのどれもがいっぱいで待たされるかとも思ったが、
そこは回転の速いラーメン屋、ほとんど入れ替わりで食べ終わった客の
カウンター席をぶんどって、メニュー表にかぶりついた。
メニューの内容は基本的に「豚骨」、それにいろいろなトッピングを加えた
サブメニュー、そんなラインナップが「豚骨」とちょっと辛めの「赤豚骨」の
それぞれに用意されていた。
俺はカップラーメンで慣れ親しんだ「豚骨」を頼み、モッチィと平井は
「赤豚骨」に挑戦、まったくなじみのなかったシミは無難な「豚骨」に、
そして一口餃子2人前頼んだ。
 やがて先に届いたのは一口餃子、普通の餃子の半分ぐらいの大きさの餃子が、
結構な量皿に盛られていた。なんかぱっと見は皿にぶちまけたスナック菓子
ってな感じだった。味の方はと言うと…実はあまり憶えていない。
あんまり好きな味ではなかったように思うのだが、ただ単におなかがいっぱい
だったからなのかもしれない。
結局食べきれずに、平井とモッチィにあげたような記憶がある。
そして待ちに待ったラーメンが運ばれてくる。蓮華を手に一口スープを啜る。
「うまい、これは三太をぬいたかもしれん」
「…けどカップラーメンとあんまり味が変わらんな」
と言うのが俺とモッチィの感想だった。
確かに美味い、ほかのラーメン屋の豚骨に比べると、明らかに一歩上を行っている。
ちょっと分けてもらった赤豚骨なんてのは絶品で、俺は赤豚骨にしなかったのを、
大いに後悔したほどだった。それでもカップラーメンの「一風堂」と比べると、
大差は感じられなかった。
カップラーメンの「一風堂」が出て、食べた時「こいつは美味い」と感動した
わけだが、オリジナルをそこまで忠実に再現していたのなら、それも当然だった
のだろう。
まぁただ、これはスープに関してはだ。麺や具はカップラーメンがオリジナルに
勝てるわけもなく、結果的には大満足だった。
餃子は若干の満腹感で食べきれなかったが、その直後だと言うのにラーメンの
方は言うまでもなく完食したうえ、スープまで飲みほした。
京都に行って河原町で飲んだ時にはお勧めである。
 ちなみに会話の中に出てきた「三太」これは浜松の街中にあるラーメン屋だ。
大抵夜中に飲んだ後立ち寄るため、人が多いってとこに出くわしたことはないが、
そこの醤油ラーメンもお勧めである。俺はシンプルなのが好きだけど、
ネギ好きならネギ入りのバージョンもあってかなりの人気らしい。
機会があったら行ってみて損はないだろう。

 宿に着き部屋に戻ると、俺とシミはシャワーをあびてさっさと布団に入って
しまったのだが、モッチィと平井は、部屋に戻ってからも競馬新聞としばらく
にらめっこをしていた。俺が寝てしまってからのことはわからないが、
平井は一人TVでも競馬の予習に余念がなかったようだ。
現実社会においても、このぐらいの気合を入れていれば、自動車免許取るのに
9ヶ月かかった挙句に放校され、再入学するようなこともなかったと思うのだが。
まぁ、あ~言う人のために9ヶ月なんて期限が決められてるんだろうな。
20日もかからず取っちまった俺には、平井に会うまではてんで意味不明な
期限にしか思えなかったけれど。

 

 今回も前後編にわけてお送りしていきます「そうだ、京都へ行こう!」の
今回は3作目「競馬編」でございます。
俺たちにしては珍しく…って言うか、今のところ唯一の電車の旅です。
後編ではいよいよ平井さんが意気込んで臨んだ菊花賞の様子をお届けします。
ギャンブルをやらない麻生から見た競馬という感じです。お楽しみに♪

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2008年 岐阜パチンコツアー?

 「岐阜ボードツアー」 改め「岐阜パチンコツアー」の様子をお届けします。
ひとり、おーくんが凍えながらに目を覚ましたボードの翌日。
時間はすでに11時頃になっていた。
とりあえず昼メシってことで、こちらも去年同様コロッケのお店へ向かった。
喫茶店のような見た目とは裏腹に、予想外の量を出してくる定食屋だ。
名前は「グリルさんか亭」 去年は名前を忘れてて掲載できなかったけど、
こちらも「明勝」と並べても遜色がない優良店なので、機会があれば是非!

 腹が満ち足りるといよいよメインのパチンコね。
活動開始が遅かったからパチ屋に着いたのは15時過ぎ頃。
すでに店はギャンブラーであふれており、店に入るとすぐみんなは
散り散りになってめぼしいパチンコ台を探し始める。
俺はギャンブルにはまったく興味がないから、徘徊する平井やおーくん、
店の中を行き交うギャンブラー達、笑顔で動き回る店員さん達なんかを
眺めながら店の中を観察していた。
 4人のギャンブラーの中では、比較的症状の軽い丹羽だけが初めは俺に
付き合ってくれていて、「あいつらがどのぐらいやるのかわかれば、近くの
イオンでも覗きに行こうか」と言っていたのだが、1時間もしないうちに
彼も姿を消し、俺は独りベンチに座って人間観察をするしかなくなってしまった。

 それからかなりの時間が経過した。半日ぐらい?ってな感覚もあったけど、
実際は3時間ほどだったらしい。あまりの暇さに時間間隔が麻痺していたようだ。
もう、ボケ老人の如くボーっとベンチに座って、店員さんの笑顔を眺めてた
だけだったからな。そりゃ~時さボケぐらいは生じても不思議ではないだろう。
 18時を過ぎた頃には浜松メンバーが戦いを終えて、最後は丹羽だけが
延長戦を闘っていた。始めはそのままソファで丹羽の終戦を待っていたものの、
18時半が近づくとさすがに痺れを切らし始める。
丹羽の戦いぶりを拝みに行くと、「先に帰ってええよ」と言う。
戦果が期待できるって事だろうか?
解散のことを考えて、丹羽も車を出して2台体制で動いていたことが
役に立ったらしい。…にしても「俺はやらなくていいから麻生につきあう」と
言うてた丹羽が最後まで粘る結果になったのが、屑人らしいと言えよう。

 パチ屋を出るとすぐに高速に乗って一路豊川へ。
ここで平井が俺にメシをおごるという申し出を出してきた。
別にギャンブルで稼いだと言うわけではないらしい。
収支的には、景品を除くと若干のマイナスだったと言うのである。
(ちなみに今まで岐阜3連勝だったおーくんが初めての敗北を喫し、
 クピンも若干のマイナスに終わったと言う)
しかし、さすがに長時間俺を放置してギャンブルに興じていたことに
罪悪感があるらしい。なんでも好きなものをおごると笑みを見せる。
 そこで俺はリニューアルされた例のパスタ屋の姉妹店を提案した。
ただ俺としても、この提案には心苦しいものがある。
平井の車は豊川に置いてあるのに対して、パスタ屋は浜松にあるのだ。
一旦豊川で高速を降りると、平井の車と2台体制で浜松に向かい、
その後平井は独りで家まで帰ることになるのである。
さすがに横暴な提案だという自覚を覚えるのは当然である。
しかもコース料理オンリーだから、おごってもらう場合最低でも2500円の
コースになるわけで、金銭的にもおごってもらうにはちょっと気が引けるのだ。
しかし、高校時代以来2回目のバブル期を迎えている平井は、
何の躊躇もなくチョモごり(チョモのおごり)を発動させた。
「むしろ、俺もコース料理には興味がある」と食に対する興味を発揮している。
「明日からダイエットを始めるから」と言って、昼からモリモリ食べていた
平井らしいコメントである。
ちなみにこの発言は今のところ3ヶ月連続で耳にしている。

 とりあえずはおごってくれると言う平井本人も乗り気だし、
前に店に行ったときにリニューアルの話を一緒に聞いていたおーくんも
便乗しておごってもらう気満々で帰路を急いだのだが、際どいのは時間だ。
岐阜を出発したのが18時半で、セレナのナビによると高速で直行しても
浜松到着予定は20時半になっている。
豊川で一旦降りて、そこから下道で浜松を目指すとなると、
21時を過ぎることが予想されるが、店のオーダーストップは21時半なのだ。
けっこうシビアなスケジュールが要求される。
 しかし高速はスムーズに流れていて、、セレナは軽快に距離を伸ばし、
途中ETCカードの交換とガソリンの給油のために三好ICで一旦高速を
降りたりしたものの、豊川に到着したのは20時頃のことだった。
平井の車に着くと、とりあえず平井の荷物を先に積み替えてしまい、
俺もエスティマに便乗して浜松へ向かうことになった。
しかし、平井のナビで下道を使って浜松へと向かう予定時刻は驚きの2時間後を
表示している。到着予定時刻は22時になっていたのである。
確かに混んでいれば1時間半ぐらいはかかるけど、あまりにも予想外の時間だ。
1時間半かかってもギリでオーダーストップに間に合うと思っていたのに、
驚愕の予想結果である。
しかし、ここまでくると流石に慌てる気も起こらなくなり、「まぁ、ダメなら
普通になにか食べに行こうか」と思っていたのだが、ハンドルを握ると
性格が変わる平井からは前の遅い車に文句が並ぶ。
「何やってんだよ、前空いてるだろぉ。後ろ詰まってんだから悟れよ」とか、
「2台前が遅いなぁ、軽が右斜線で進路をふさぐなよぉ。
 前の車も何でプレッシャーかけないだ?!」…ってな具合である。
ココで平井の平井らしいところは、文句は言うわりに自ら回りの車に
プレッシャーをかけることはせずに、前の車に「プレッシャーかけてけ!」と
文句を口にするだけってところだな。
危なっかしい運転のわりに、いまだに無事故を貫く数少ないメンツなのは
こういうところに理由があるのかもしれないけど、彼の表に出すイライラ感は
ちょっと「大丈夫か?もう少し落ち着いていこうよ」と思ってしまう。
でも、普段は底抜けに自己主張をしない「いい人平井」だから、
逆にこういうとこで発散されてたりするのだろうか?
「まぁまぁ、急いでるのは俺なんだから、おまえが慌てるこたないさ」
…と、ナビの画面をサッカー中継に切り替えると、そのまま浜松に向かったが、
サッカーの方も相変わらず気をもむような場面が多かったから、あんまり効果は
なかったかもしれないな。
 そんな感じで浜松に入り画面をナビに切り替えると、驚きの表示が目に入った。
到着予想時刻が20時代にまで短縮されていたのである。実に1時間以上だ。
どうやらナビの速度設定がえらいことゆっくりに設定されているらしい。
(ナビには一般道路でのスピードと、高速でのスピードが設定できるように
 なっていて、そのスピードと道のりをもとに、予想時刻を計算しているのだ)
店に着いてみれば、拍子抜けするほどに余裕綽々の時間だった。

 店に入ると橋本姉さんが「かわいい!!」と絶賛していた店員さんがお出迎え。
「お店が変わってから来るのは初めてですよね?」と、
店が変わっても当然のように覚えられている麻生。
説明では2500円のコースが2つ、3800円のコースが3つ、
それに5800円のフルコースが1つ用意されているらしい。
うぅ~ん、確かに姉さんが言うとおり、彼女はかわいいね。
タイプ的な好みだけで言ったら、梅田さんより俺好みだと思う。
梅田さんに惹かれたのは、タイミング的な要素が大きかったのかもしれないな。
 テーブルに案内されると、今度は梅田さんがメニューを持って登場。
「今日は浜松でも雪が舞ってましたよね」なぁんて話題から、スノボの話を
したものの、それ以外の接客はほとんどおで迎えしてくれたお姉さんと店長で、
この日は珍しくお見送りにも出てきてくれなかったな。

 それはさておき流石にコース料理オンリーってだけあって、ナイフやフォークは
すでにテーブルに人数分のセットが用意されている。
TV的に言えば「板つき」ってやつだな。
しかも各自に3セットが用意されている。噂には聞いたことのある
外側から順番に使っていくってヤツだな。
実際のところ、当のフランスやイタリアでは「料理は美味く食べるもんだ」
って言って、マナーの点ではもう日本の方が意識しすぎるぐらいになってる
らしいけど、日本は形や体裁にこだわるからね。その域に達するのはいつかな?
 さて、その間に平井がサイフを車に忘れたり、クピンがタバコを吸いに席を
離れたり、全然緊張感のないメンバーだが、いよいよオーダーだ。
俺はおごってもらう身だから大人しく平井に任せるか、上のコースを頼むんなら
加算分は自分で払うつもりでいたんだけど、トップバッターで注文した平井は
当然のようにフルコースを注文する。
しかしココで障害がたちはだかる。フルコースは2人からしか頼めないと言うのだ。
つくづく縛りの多いお店である。クピンがタバコを吸いに席を離れたのも
店内全席禁煙になっていたからだったし。
そこで平井は俺に目配せをすると「麻生さん、フルコースでいいっすか?」
と、促してくる。一瞬躊躇したものの「あいよ」っと答えると、
店員のお姉さんの方が「いいんですか?」ってな確認をしてきた。
ここはもう満面の笑みでうなずくのみだ。
 残りの2人はおーくんが3800円のラム肉コースを選び、
クピンが2500円の肉料理のコースを注文した。
それ以外ではパスタの選択を迫られて、それぞれオーダーをしていたが、
フルコースの方はパスタも特別扱いされているらしく、牡蠣のペペロンチーノ
がコースに含まれていると言う。
ここで苦い顔をしたのは平井さんである。彼は生ものが苦手なのだ。
特に海鮮系の生ものはホントに苦手らしく、刺身もほとんど食べない。
(そのわりに寿司はよく食べるらしいから、判断基準がよくわからない)
それを察したお姉さんは「貝とか苦手ですか?」と確認をしてくる。
苦手な人のために、パスタの変更もできるらしい。
それに対して平井の答えは…
「肉系のパスタで、トマトソースを使ったもの以外」というもの。
お姉さんからはさらにソースやなんかの選択が投げかけられたが、
それらのすべてに「おまかせで」と返す平井。
ちょっと恥ずかしそうに「おまかせで」を口にするところが、実に平井らしい。

 そんな感じスタートしたコース料理。まずはアンティパスト。
クピンには小鮎の天ぷらだったかな。見た目的にはわかさぎみたいな感じだ。
おーくんのはあまり印象に残ってないのだが、やはり魚系の前菜だった。
そして俺と平井にはパイの実みたいなちっちゃなパイとポテトサラダのような
料理と、小さなカップがちょこんと乗せられたお皿が運ばれてきた。
カップの中身は生シラスと辛めのスパイスを和えた料理らしい。
おーくんやクピンのも含めて、どれもちょこんとした量で、高級感は漂うものの
やっぱりちょっと物足りなさを感じる。
 続いて運ばれてきたのはアンティパストの2品目だったが、
コースがそれぞれに違っているから、品数にもずれがあり、クピンのとこだけは
スープが運ばれてきた。1つのグループでそれぞれ別のコースを頼むってのも
一般的には少ないのかもしれない。
 次に運ばれてきたのは俺と平井のスープ。
ココでは完全にコースによるずれが出てきて、俺と平井以外はおあずけタイムだ。
それに続いて肉料理系が運ばれてくる。それと同時にホイップチーズがそれぞれの
皿に盛られて、パンが配られる。このパンとチーズはなかなかの絶品だったね。
「おかわりはいかがですか?」って聞かれるたびにおかわりをお願いして、
最後にはまだ3品ぐらいで料理があるけど大丈夫か?っつって心配されたほどだ。
まぁ、このためにまたコース料理を食べに行こうとは、さすがに思わないけど…
 肉料理のほうはクピンがビーフのテール肉の料理で、おーくんはラム肉の
ステーキ。2人のを比べると、クピンのやつがサラダに見えてきて、
クピンも二度見してたっけ。表面的な見た目はほぼレタス的な野菜だったからな。
 メインのパスタは他の店に比べると半分ほどの量。
パスタ屋っていう表現はもう使いづらい範疇に入ってくるね、これは。
味の方は何か入り組んだ複雑な味。高級な感じはするけど、
俺はやっぱシンプルな方が好きだなぁ。
 最後はデザートとドリンク。これもコースごとに違っていて、
クピンのコースは「本日のおすすめデザート」で、おーくんは「季節のデザート」
俺と平井には小さなメニューが手渡され、4種類の中から選べるようになっていた。
その中から俺達は店長が「なかなかお勧めだ」って言うコーヒープリンみたいな
ヤツを頼むことにした。
ちなみにコーヒーの方は今までどおりで、一人紅茶を頼んだ平井には
3種類の中から好きな紅茶を選べるような仕組みになっていた。

 一通りの料理を堪能して時計を見ると驚きの23時。
店の閉店時間は22時だったから、びっくりの時間だ。
とは言え、出されるままに食べてたから、コース料理を食べるのには
元々2時間という時間が必要なのだろう。
梅田さんがお見送りに出てこれなかったのも、カウンターの片づけで
忙しかったからかもしれないな。こっちの方に意識は向けてくれてて、
遠巻きにあいさつはしてくれたわけだし。
ただ、やっぱり気軽に足を運べるような店ではなくなっちゃったから、
もう滅多に会うことはないだろう。
どう考えてもコストパフォーマンスがいいとは思えないんだもん。
一番下の2500円のコースでギリ、それ以外のコースを頼むなら、
同じ値段でもっと美味しいものが食べれると思うからね。
 ただ、今回のお会計は一括でチョモごり。
トータル2万円ぐらいのお会計を、さらっと払って「いいっすよ」の一言。
さすが兎の稼ぎ頭である。また俺も余裕が出てきたら、何かお返しせにゃかんな。

 

 …と、そんな感じの後日談でしたが、思いのほか長くなったな。
滅多に足を運ばないパチ屋に行ったってのと、パスタ屋の話だけ
さらっと書いて〆るつもりだったのに…。
頑張って最後まで読んでくれた人はありがとうございます。
 この後はBDPレポをお届けしつつ、通常営業に戻る予定です。
BDPレポもちょっと長めかな?まだ読み返してないからわかんないけど、
20代半ば以上の人には懐かしい話題も出てくるからお楽しみに☆

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俺色スカイ

♪手ぇつないで見た朧月も すべて流してくれた雨も
 今思えば 俺見ていてくれたんだな

 なんか久しぶりに雨ですね。
昨日は夕飯と一緒にコーヒーを2杯も飲んじゃったせいか、
2日続けての寝不足です。寝付いたのは4時ぐらいだったと思うから、
2日間で7時間の睡眠やね。でも精神的にはそんなにやつれてる気はしない。
体はけっこう重々で、肩こりもなんかひどいことになってるけど…
たぶん仕事がたてこんでて忙しいから、疲れてる余裕もないんだろう。
でも、あと一歩的なところまで来てるニュアンスをひしひしと感じてるから、
この峠も残りはわずかなんじゃないかな。
ただ、最後の一歩がどこで躓いてるのかを見つけるのが厄介なんだよね。
それさえ見つけれれば、意外なほどあっさり問題は解決するんだろうけど。

 何はともあれ今日は金曜日だからな、気分は軽快だ。
明日はBBQ以来になるもんくんと飲みに行く予定。
この前行ったBarに行きたいなぁなんて思っている。
もしかして予定さえあえば、平井とサトツ氏も参加予定である。

 昨日は久しぶりに平井と電話で話したけど、あの生粋のギャンブラーは
ずいぶんと蓄えを肥やしているみたいだね。
去年、親ローンで購入したエスティマの返済金の倍ぐらい貯まったらしく、
「金を持つようになってわかったけど、やっぱり金は持ってないとダメだね」
…と、成金発言をしてたっけ。
大学時代はサイフ(穴開き)の中身2000円ぐらいで旅に狩り出され、
着替えすらも持たずに、夜中に浴場で洗濯をして旅を続けていた人間と
同一人物とはにわかに信じられない。
しかも貯まり具合はギャンブルの結果次第って言ってたから、
よくそこまで貯めたものである。
ただ、そんな発言をしてもまったく嫌味がなくって、むしろ噴出してしまう
平井のキャラクターはやっぱり特殊な感じだね。
金銭的、社会的な真人間とはかけ離れているかもだけど、人柄はこのうえなく
やわらかいヤツだからね。平井が怒ってるとこなんて、まず見たことないし。

 そんな平井さんとモッチィは先月の屑人飲み以来に、
そこにもちろん筒井さんも交えて、兎の首脳会談が予定されている。
日程は来週末の11月3日、場所は久々の豊橋飲み、
議題は「筒井さんの結婚式詳細の発表」+αの予定。
「+α」のあたりは年末の兎の活動について、煮詰めていくってな思惑が
あるんだけど、会談内容はいつも予定から外れていくから、
どうなるかはわからない。
でも、「やる」っていう公言をした覚えもないのに、各方面から
「今年も忘年会の企画してるんだって?楽しみにしてるから」
ってな期待のこもったお言葉を賜る機会が多くて、
もうやらないわけにはいかない感じになってきている。
もちろん、期待されてるんなら実現しないわけにはいかないし、
こっちも実現させたいと思うんだけどね。
12月には姫とリーダーのBDPも企画してるから、いつやるんやろ?
ってな感じである。

 さて、読んでる人にはまったくわかんない切り替わりだけど、
麻生はここから昼休みを挟んでの執筆です。
ゆうべあんま寝てないから、昼休みの数十分、いつも通りの爆睡かと思いきや、
まったく寝付けなかった。
体力的にはもうすでにいっぱいいっぱいなんだけど、精神面がハイパー状態に
なってるもんだから、精神が肉体を凌駕してるのである。
スーパーマ○オで言ったらスターを使って激ムズのステージを
疾走しているのと同じで、これが切れたときのことを思うと不安になる。
ハイパー状態に入ったトリガーが何なのかはだいたい察しがつくけど、
根本的にハイパー状態を生み出している精神的な原因はよくわかってないから、
いつまで続くのか予想がつかない。
かなりのハイパー状態だから、ゆり戻しも大きくなりそうでちょっと怖い。
とりあえずこのハイパーが完全にきれる前に、体力的な回復をしておかないと
えらいことになりそうだから、今夜あたり爆睡できたらいいなぁ。
そうすれば明日また飲みに行って、精神的な安定にもつながるかもだし。
まずは今日を無事に乗りきって、仕事にもアタリをつけて週末に突入できたら、
それだけで弾みになるから、もういっちょがんばってくるかな☆

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どんなときでも地球は回る

 今朝は筒井さんの電話で目を覚まし、ずいぶんとしゃがれた声で
「おはよう」を言ったのが1日の始まりだった。
ホントはゆうべのうちに連絡がくるはずだったんだけど、
ゆうべは姉さんと長電話していたらしく、申し訳ないってな電話だった。
こっちもまぁ、電話がくる確率はそんなに高くないとふんでたから、
多少寝るのが遅くなった程度で、特に気にはしてなかったんだけど、
BDPTのことがあったから電話してきたんだろうな。
 そんなわけで、この前はあんなことを書いたんだけど、
姉さんや姫を相手にいろいろ話して、もうずいぶん気分は復調しているみたい。
「俺でも力になれんなら」なんて思ってたから若干の寂しさもないことはないが、
結果的に筒井が元気になったのなら言うことなしってとこかな。

 そんなわけで筒井が姉さん達と話してるうちに、
今週末の飲みはずいぶんと幅を広げていた。
まずは姉さんと姫も参加が決まり、姉さんから山本にも声をかけているらしい。
土曜の夜、浜松飲みならもしかしたら…ってことで、
モッチィにも声をかけているようである。
一方リーダーはバンド活動があるため参加できないらしいが、
呆れさせられたのは平井である。
「今週はマージャンをやるかもしれないから、5部だな」
ってなことを言っていたらしいのである。
悩んでるツレよりマージャン……さすがは平井である。
さすがの筒井も「俺の存在がマージャンに負けるかもしれん」と嘆いていた。
冗談半分で笑って言ってたけど、けっこうショックなんじゃないかな、実は。
 ちょっと前に平井と会ったときに、その麻雀の話は聞きかじっていたんだよね。
そのときはまだ具体的には何の動きもなかったみたいなんだけど、
察するところ平井とクピンが企画者で、クマーチョとおーくんを誘う予定、
…と言うような計画のようだった。
だからね、平井にしてみたら言い出しといて自分から日程を変えるのも
気が進まないんだろうけど、はたから見たら「友達より麻雀が優先」と
いう公式が頭に浮かんでくる。
平井のギャンブル好きは幼稚園で習う常識と同じレベルのものだからな。
朝起きたら「おはよう」と言うのと同じで、平井と言ったら「ギャンブル好き」
という返事を誰もが返してくる。そんな感じなのである。
だから平井の本心はどうあれ、筒井は単純に上の公式を
思い浮かべたんじゃないだろうか。「友達<ギャンブル」って公式をね。
単純に「久しぶりに麻雀がしたい」っていう欲求もあるのはもちろんだけど…。
さすがにそれだけじゃないんじゃないかなぁ、と思うのは俺が甘いだけだろうか?

 ってことで今日の〆はまた引用で…
BUMP OF CHICKENの「ギルド」から抜粋。
書き込みの内容とは関係ないけど、ここ数週間の俺の心境に
見事にマッチしてる詩ってことで。
ここんとこの書き込みはこんな気持ちで書いてたと思ってください。

☆。・゜・★・゜・。☆。・゜・★・゜・。☆。・゜・★・゜・。☆。・゜・★・゜・。

誰かかまってくれないか しゃべらないで思っているだけ

当たり前だろ 隠してたら気付かれないんだよ

汚れたって受け止めろ 世界は自分のモンだ
構わないからその姿で生きるべきなんだよ

☆。・゜・★・゜・。☆。・゜・★・゜・。☆。・゜・★・゜・。☆。・゜・★・゜・。

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屑人岐阜ボードツアー ~2日目~

※「屑人岐阜ボードツアー ~1日目~」 の続きです。

 疲労の末、俺が眠りについたのは夜中の1時半ごろ。
しかし車の中で寝ていたクピンやおーくん、平井なんかは、
俺や丹羽が寝たあともしばらく漫画を読んでいたらしい。
それでも翌25日、全員が活動を開始したのは11時過ぎのことだった。
 丹羽の家を出発するとまずはガソリンの給油。
岐阜は主要都市や沿岸から距離があるせいかガソリンの単価が高めなのだが、
それでもできるだけ安いところで給油を試みることにした。
つい最近までガソリンスタンドで働いていた丹羽の助言を頼りにして、
導かれるままにセルフのスタンドで給油をしたが、それでも120円/l。
静岡や愛知に比べると5円くらい高いだろうか。
 給油を済ますと今度は俺達の腹ごしらえである。
迷った末に入ったのは喫茶店のようにおしゃれな定食屋である。
メニューを見るとクリームコロッケやハンバーグの定食が並んでいる。
値段はだいたい900円~1500円ぐらいだったかな。
定食の値段としては普通の値段だが、店のおしゃれさからは
予想を裏切られるような量に驚きだった。
俺が頼んだのはカニクリームコロッケだったのだが、
子どもの拳ぐらいのコロッケが3つに大盛りのご飯、
それに味噌汁と付け合せの漬物が付いて来た。
ご飯の大盛りが+50円と言うリーズナブルな価格設定で、
危うくご飯を大盛りにするところだったが、そんなことをしていたら
とうてい完食することはできなかっただろう。
おーくんが頼んだハンバーグ定食のハンバーグなどは絶句する大きさだった。
味の方も実においしく、量も豊富で店もおしゃれ、
大食らいな彼女がいたら連れていてあげると大喜びかもしれない。

 腹が膨れるとあとはノープランの日曜日。
例年ならここからパチ屋へ雪崩れ込むのだろうが、
前日のボードで負傷者が出てしまったため、ボードを早めに切り上げた
ところにパチをねじ込んでいた。
そこですでに敗北してしまった者があったから、この日は誰一人として
パチ屋へ行こうとは言い出さない。
そこで仕方なくアミューズメントパーク、…要はゲーセンに行って
時間をつぶすことになった。
 たどり着いたゲーセンはチュコパチ・チョコスロってなうたい文句の
パチ屋に併設されたゲーセンだった。
そこはボーリング場やカラオケボックス、ビリヤード場や卓球場までもが
完備されたなかなかの規模のゲーセンのようだ。
駐車場もいっぱいで、かなりの駐車スペースが満車状態。
俺は運良く車をとめれたものの、丹羽は結局駐車スペースを見つけられず、
向かいのホームセンターの駐車場へ止めることになってしまった。
岐阜中の若者が集まっているような勢いである。
 ゲーセンに入っていくと迷わずコインゲームゾーンへと吸い込まれて
スロット台の前を占拠する3人。俺と丹羽は呆れるばかりである。
丹羽はそのまま3人の打つスロットを眺めていたが、
スロットの「ス」の字も知らない俺は、眺めていても暇なだけである。
唯一楽しめたのは、いかにもパチ屋にいそうってなおばちゃんの
英才教育を受けながらパチのゲームを打つ2人の兄弟だった。
「ボーナスが終了する前にやめちゃダメだ」とか
「残り10ゲームまでは打ちつづけろ」だとか、
俺には意味はわからなかったが、面白い場面なのは歴然だった。
仕方なく俺は普通のゲームが置かれた領域で時間をつぶすことにした。
 ゲーセンに足を踏み入れるのなんてのはいつぶりだろうか。
カウントダウンの時にパルケにあったおまけみたいなゲーセンでプリクラを
とったけど、ホントにあそこはおまけみたいな所だったし、
プリクラを撮って終わりだったら、その前ってなるとすでに記憶にないほど
前の話になってしまうのだろう。
ああ言うアーケードのゲームってその場限りで遊ぶゲームじゃん?
あるのって言うとレース、パズル、格闘、スポーツってなジャンルかな、
要はストーリー性がなくってすぐに遊べるゲームだね。
もともとアウトドア派の俺が唯一ゲームに興味を惹かれるのは
ストーリーが面白いゲームなのだ。
そんなんだからしばらくはゲームをすることもなく、
ブラブラとゲーセンの中を眺めていたのだが、さすがにそれでは間がもたない。
そこで手を出したのは脳トレ系のゲームだった。ジャンルで言ったらパズルだ。
「頭を使うゲームはけっこう好きな方だし」ってな感覚で始めたのだが、
なかなかに楽しむことができた。
それは「脳開発研究所クルクルラボ」 というゲーム。
 まずは「診断モード」で特性を診断。
ミニゲームをやった結果によって蜘蛛の巣グラフで
言語・計画・聴覚・視覚・運動・記憶の6つの特性が表されるのである。
2~3回やってみたけど何回やっても一番よかったのは計画の項目だったな。
それもだいたい満点クラス。やっぱ頭のつくりは理系なのかねぇ。
それに比べて言語は平均レベルのちょっと上ぐらい。
漢字問題が足を引っ張ってたみたいだけど、
あれって言語より記憶じゃないのかな?
ブロガーとしては遺憾な結果だよね…。
 このゲームで楽しかったのはオンライン対戦である。
俺とおんなじように日本中のゲーセンでリアルタイムに
同じゲームをしている人と対戦できるモードだ。
暇だったから5回ぐらいやったけど結果は3回か4回優勝で、1回は準優勝♪
よかった、まだそんなに衰えてはいないみたいね、俺のノーミソ。

 俺がそんな風にして脳を鍛えているそのかたわら、
コインゲームゾーンではなかなか白熱した個人戦が繰り広げられていたらしい。
なかでも特筆しなきゃいけないのはおーくんである。
俺が脳を酷使している間に彼は、ゲーセンのスロットゲームで5000円も
擦ってしまったらしいのである。
前日のパチの勝ち分は旅費と相殺し、さらに飲代で少し多めに出してくれてたから
ゲーセンでの負け分はそのままマイナス査定だと言うのに、だ。
(まぁ、買っても換金できるわけじゃないけどな)
その頃時間は16時半頃。メシを食べ終わったのが14時ぐらいだったから
2時間ぐらいゲーセンにいたことになる。
 時計を見て「まぁそろそろ」と言ってゲーセンを出た5人だったが、
豊橋・浜松までは2~3時間だろうから、家路につくにはまだ少し早い時間だ。
そこで平井の携帯が鳴って、平井は少し離れた所で電話を始める。
この動くに動けない状態で飛び出したのは、おーくんのパチ屋発言だった。
ゲーセンでの負け分を取り戻したいのだろう。
それ以上に負けっぱなしってのが嫌だったようである。
そこで向かったのはゲーセンの隣のチョコパチ屋だ。あまりにも予想通りな展開。
 そのチョコパチ・チョコスロってのは
投資金額・換金金額が通常の半分に設定されているらしい。
まぁ、気晴らし程度にはちょうどいいのかもしれない。
店自体もチョコスペースで、前日に行ったでっかいパチ屋に比べると、
1/4ぐらいの広さだろうか。店内もちょっとくたびれた感じがあって、
店員のユニフォームもトレーナーとかそんな感じ。
それでもまぁ、接客は相変わらず気持ちのいい接客だし、年齢層もかわらない。
眺めているだけの俺からしてみたら、人数の違いしかないわけだ。
でもパチをやりに来るギャンブラーにとっては、ローリスクローリターンでは
満足できないんだろうね。客数もかなりな少なめである。
ただまぁ、岐阜に2日間滞在していた最中に、何度も前を通りかかった
とあるパチ屋よりは断然の集客数である。
なんて言ったって、通算で3台の車と1台の原付しか駐車場に止まってるのを
確認できなかったんだからな。

 平井が電話を終えて店内に入ってきたのがだいたい1時間後の17時半頃、
当初の帰宅予定時間だったが、またしても延長戦なのは言うまでもないだろう。
その要因はおーくんがまた当りをひいていたからだった。
結局ゲーセンでの負け分を取り戻したってんだからもう「天晴れ」と言うしかない。

 そんなこんなで岐阜を発ったのはさらに1時間後の18時半だった。
豊橋に着いたのは21時ぐらいだったかな。
そこで夕食を済ますと、いよいよ浜松組も帰路に着くこととなった。
クピンとおーくんを送って家に着いたのは22時過ぎ、
今週もまたしても大車輪な休日である。
 来週は特に予定は入っていないものの、その次の週末には
とある理由から兎団の仮装パーティーが予定されている。
初めはさとっちゃんのBDPだったのだが、そこに新たな祝事が加わり、
逆にさとっちゃん本人がまたしても海外出張でアフリカ行きが決まってしまった為、
追加企画をメインにスライドしての仮装パーティーだ。
仮装パーティーって言っても普通に居酒屋でやる予定だから、
そうとう異様な集団になることだろう。
これはまたここでご紹介することになると思うから、楽しみに待っていて下さいな。

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夢を買う人

 俺はギャンブルをやらない。
例えば「暇になってパチンコに行って10000円負けた」なんて話を聞くと
誘ってくれれば、その金でメシでも食べに行ったのに、なんて思うのだ。
10000円もあれば何でも食べ放題じゃないか。
それにツレと話しながらメシ食べてたほうがよっぽど楽しいだろう。
大学の頃からこんな理論を振りかざしていたら、
まわりのツレのなかには「確かに」って言ってパチンコをやめたヤツもいた。
それでも平井のように睡眠や生活削るようにして、
ギャンブルに熱狂する人がいるのも事実である。
来月の予定でも平井がきっぱり「ここは用事があるからダメだ」
と公言したその予定とは単に競馬を見に行くだけらしい…。
そのため1月の末あたりから大学メンバーで飲もうと言う話が
出ているものの、4月までずれ込むことになってしまっている。
ツレと飲みに行くのよりも競馬への情熱が強いのだろう。
(飲みの予定はずらせても、競馬の日程はずれてくれないけどさ)

 先週グリーンジャンボ宝くじが発売になった。
ギャンブルはやんないけど、宝くじは買うって人も
世の中にいるんじゃないだろうか。
まぁ、俺にしてみれば国営カジノみたいな認識でしかないから、
宝くじにもたいした興味はない。
1度だけ個人的に買ったことがあったが、唯と付き合っていた頃
彼女が買ってみたいと言うのに便乗しただけで、
たしか5枚っくらいしか買わなかったんじゃないかな。
 そんな宝くじなのだが、先週Gジャンボの発売日に
俺は宝くじ売り場の列に並んでいた。
会社で金を集めて宝くじを買い込んで、当ったら山分けすると言うのである。
この慣わしは俺が入社する前から続いているものらしく、
新入社員だった俺は断りきれず、参加させられて
それ以来、よっぽど金銭的な危機の時以外は参戦しているのだ。
その宝くじの買出しが当番みたくなっていて、俺の番が回ってきた。
それが今回のGジャンボだったわけである。
 Gジャンボと言えば数量限定で、早く買いに行かなければ
売切れてしまうという厄介な代物。
仕方なく俺は発売日の夜、仕事が終わった後
宝くじを買いに向かったのだった。

 仕事が終わったのが8時頃、人ごみの中で宝くじを買いたくなかった俺は
宝くじ屋としては中規模な店に向かったのだが、すでに閉店。
仕方なく俺は名の知れた店へと足を運ぶことにした。
 その店に着いたのは9時過ぎごろだったが、
店の前の道から渋滞していて駐車場に入ることすらできない。
やっとの思いで駐車場に入り込むと、前回の年末ジャンボの換金に向かう。
当選発表があると、その日の朝礼で宝くじの確認をし、
次に宝くじを買いに行く時に換金して、その金を次に転がしていくのである。
山分けになるのは10万円以上当ったときらしいから、
いつの話になるやらってな感じである。
(過去1度だけ山分けになった実績はあるらしい、
 もしかしたらそれで味をしめたのかもな)
前回の当選番号の照合の結果は……すでにあまり覚えていなかった。
確か俺が確認した20枚の中から2枚当りが出たのは覚えているが、
いったいそれがいくらだったのかまで覚えていなかったのだ。
 機械にかけられた前回の宝くじ。だいたい140枚くらいだろうか。
機械は4台ほどあって、他のお客さんも並行して当りくじを調べているが、
途中から俺が調べてもらっていた結果のディスプレイだけが
15000円を超えた表示に変わった。結果は約18000円。
3000円ぐらいしか当らない時がほとんどだから、高額な方である。
 それにしても宝くじにハマるのはおばちゃんに多いらしく、まわりで俺の
当選結果を見ていた(自分の当選結果が出るのを待っていた)
のもみんなおばちゃんで、その金額に「あらぁ、いいわねぇ」とか
「私もそれぐらい当ってるとなぁ」とか「次はもっと当るといいねぇ」
なんてな感じに話しかけてきた。
自分が当ったってんでもないのに、なぜかみんなホクホク顔である。
宝くじに夢を賭ける人どうしの連帯感みたいなものなのだろうか?
買った枚数に比べたら当然「赤」なのは一目瞭然なのにな。

 開票が終わると今度はGの方を買わなければならない。
しかしそっちもまた行列だ。
しかしよくよく見ると、1人も並んでいない窓口がひとつ。
なんだろ?ゲンかつぎかなんかで、当りやすい窓口
みたいなのがあるのだろうか。
俺はかまわずガラすきの窓口で宝くじを購入すると、
ようやく家路へとついたのである。時間は10時ごろになっていた。
30分以上も店で時間を取られてしまったようだ。

 買わなきゃ当らないってのはわかる。
でも、買ってもほとんど黒字になることはないのが事実。
確率的な話をすれば買えば買うほど利益率は減少する。
宝くじに当る確率は10枚買おうが100枚買おうが、
大した変化はしないのである。もともとの確率が低すぎるから。
要は当る時は枚数が少なくても当るし、
当らない時は何枚買っても当らないってことだ。
それでも投資金額は買った枚数に比例して大きくなるんだから、
それならば少ない枚数で当った方が利益は大きいと言うわけである。

 宝くじを買ってる人にそんな話をすると、「夢を買ってるんだ」
てなこと言って誇らしげですらあるけど、俺ってば夢がないのかな?
なんて言われても興味をもてないのよ。
パチンコとかならまだ勝ち負けの動きが見えるから分かるけど、
宝くじで特筆するほどの高額当選したなんて話は、
ツチノコか全国模試1位かってぐらいの希少価値をもっている存在である。
まさか自分が全国模試で1位取れるなんてことは思えないし、
ましてやツチノコ発見者になれるとも思えない。
それと同じで宝くじ買って儲かるとも思えないのである。

 俺がイメージする「夢」という単語の意味、
それは「自分の努力次第で実現可能な理想」ってのが強いと思う。
だからこそ運まかせなギャンブルや宝くじでもって「夢を買う」という
ニュアンスをもてないのかもしれない。
確かに、運まかせな要素がでかい方が(実現する確立が低い方が)
「夢」という言葉のイメージに近づくような感じもするけどね。

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